東京国際映画祭学生応援団

あの夏のルカの東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
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本作が描くことは、誰にでも存在した【子供時代】そのもの。

主人公 ルカの大冒険!とか、ルカのひと夏の思い出!といった限定的で特定されたテーマではなく、【子供時代】というマクロな視点で包括的なテーマを描いているよう。

悪く言ってしまえば、かなり「ざっくりとした」作品とも捉えられるが、こうした概念的なことを描けるのはピクサーならでは。

作中では、子供が子供として生きるすべてが詰まっている、まさにそんな映画。

恐らくこの95分の中に、恋愛感情や、はたまた憎しみ, 憎悪といった感情は含まれていないはず。

そうした「子供から大人」の過程で養われる感情はなく、まだその段階にも達していない【子供時代】を映す本作では…
「好き・嫌い」や「利益・損失」というより、「楽しい・楽しくない」という価値尺度で物事を決める描写が、誰の心にも昔を懐かしむものとして表れるだろう。

また、それを可能とするのは、敢えてリアルに描かないピクサーの映像技術の賜物である。

まるで本物を描くことで人々の感情に訴えるディズニーとは異なり、敢えてアイコン的なキャラクター造形や、抽象的な自然表現によって、観る人それぞれの解釈で、自分の物語として落とし込める作りのピクサー。

誰の話?何の話?ではなく、私にもあったルカの話、として楽しんでみてはいかがでしょうか。


残念ながら劇場公開には至りませんでしたが、現在ディズニープラスにて追加料金なしでお楽しみいただけます!

学生応援団のディズニー好きからは以上です!

《鑑賞者: ひろ》