TakashiM

トゥルーノースのTakashiMのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.0
北朝鮮の実態は頭ではわかっていた。
だが、本作がリアルな体験談の取材に基づいているとはいえ、現実感がなかなか湧いてこない。
それだけ残酷で、非現実的な内容だった。


突然理由もわからず強制収容所へ連れて行かれ、肉体的・精神的にギリギリの環境に放り込まれる。
しかもこれは日常茶飯事で、今でも12万人もの罪のない人々が働かされている。
女子供関係なく、家族の誰かが疑いをかけられたら最後、家族全員が連帯責任となってしまう。

収容所では、毎日ノルマが課せられ重労働を強いられる。
食事は生きるためのギリギリの量。
具合が悪くなったら、医者がいないので苦しんで死ぬしか無い。家畜以下の扱い。
厳格な監視下におかれ、少しの休息も許されない。加えて、隣人の密告も当たり前。

本作は、そんな見るに堪えない残酷な描写が非情に多いが、それだけではない。
家族の絆、人間の尊厳が、物語として随所に散りばめられており、映画のストーリーとしてもとても良くできている。
人として扱われない彼らの生活の中で、失ってはいけないものが際立って美しい。

主人公のヨハンは、一時は人道を外れてしまいそうになるが、家族や友人によって自分を見つめ直し、家族と友人を守るためにとある行動に出る。。


最初と最後のシーンは、TEDでのスピーチのシーン。
スピーチしてるのは誰か。ここも大きな見どころ。

希望を捨てるな、というセリフもあったが、この国の人達が救われる時代は来るのだろうか。自分には全く見えません。。
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