yukihiro084

セブンのyukihiro084のレビュー・感想・評価

セブン(1995年製作の映画)
4.8
(ノーカントリー)のトリーミーも、
(セブン)のモーガン・フリーマンも
同じようなことを言う。
『この世の中について行けない。』

(セブン)WOWOWで再鑑賞。
公開当時、劇場で鑑賞。

今でこそ、youtubeやSNSで情報は簡単に
手に入る。ビジュアルやメイキング、
だいたいのストーリーや、評価そのものも。

一昔前まで、映画は、
(なんだかよくわからないけど、本国で
凄いことになっているぞ)というものだった。
この(なんだか凄いことに感)が際限なく
想像を掻き立て、それでもそれらの作品は
いつも僕らの想像を軽く超えていった。

サスペンス映画、スリラー映画は、
91年の(羊たちの沈黙)から、
違う次元に入った。その後似た作品が
たくさん作られて、僕らもそれらに
耐性が出来てきて、慣れたつもりだった。
あー、このパターンね。そんな感じだ。

それでも、この作品は全く新しい衝撃だった。
徹底的にしつこく、細部のトーンや描写に
こだわり抜いた映像は、異常者の日常や
思考を覗いたよう感覚だった。
それは踏み込んではいけない領域に思えた。

オープニングの天才カイル・クーパーが作る
オープニング・クレジットから衝撃的だった。
後々、日本の刑事ドラマなども影響を受ける
このオープニング・クレジットはある種の
芸術作品だった。

この作品がビデオリリースになった頃、
社会問題にもなった猟奇事件が起きて
日本中、そしてレンタルビデオ店も
騒然となった。
つまり、オープニング・クレジットから、
店頭にビデオが並んでまで、この作品の
衝撃は続いた。文字通り事件になった。

トミーリーもモーガンも、
刑事、警察官を演じ、増え続ける
異常な事件、とても理解が追いつかない
事件の数々に呆然と、そして疲弊していた。
魂が擦り切れていた。

映画が時代を映す鏡なら、
僕らは映画並みの(もうついて行けない)
世界に生きているってことだね。怖い怖い。

僕はあといくつ、それまでの何かを
超えてゆくような作品をリアルタイムで
観ることが出来るのかなー。
yukihiro084

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