1990年代後半から2010年代までの邦画は殆ど見ていないので、話題作を中心に今後は見ていこうと思う。で、「眉山」に続いての「涙そうそう」。
森山良子作詞のこの名曲はもちろん知っていたが、それをモチーフに出来上がったこの映像作品が、思いの外、攻めた内容でかなり驚いた。
これって、ぶっちゃけ、血縁関係は無いものの、兄妹間の家族愛を超えた近親相姦的な関係がテーマじゃん。
それならそれで、もっと人間の奥底に潜んだ感情を丁寧に描いてくれたなら、個人的には大いに有りだったんだけど、そこそこ綺麗にまとめてしまってるし、U-NEXTでの鑑賞中にずっと右下に“TBSオンデマンド”のロゴが出ずっぱりのせいもあってか、映画作品と言うより、何だかとってもドラマっぽい。
台詞の一つ一つを取っても2000年代初期の作品ならではの古さを感じさせるし、兄妹が住む家のセットが沖縄を舞台にしながらエアコンが無く扇風機だけとか、その貧しさは伝わるものの、置いてある家具や家電のポップな色合いがレトロモダンな感じで、一周回って逆にオシャレに見えてしまい、これまたドラマっぽい。
唐突に挿入させるBEGINの曲の演出もベタだなあ。
一番勿体無いのは、このタイトルで美しい大自然に恵まれた沖縄を舞台にしているのに、重要なシーンの殆どがセット内で展開されるので、「眉山」と異なり、せっかくのロケーションを最大限に生かし切れていない事。
台風のシーンの後の急転直下の展開には、内容を全く知らずに鑑賞したので、正直驚いた。
妻夫木聡、長澤まさみはキャラクターにはピッタリ。今や日本を代表する映画俳優となった二人の若き日の姿を見るだけでも一見の価値はある。これだけの美男美女兄妹なら、恋愛感情を抱いてしまうのも納得が行くかもね。
妻夫木の男泣きシーンが抜群にいい。