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クラッシュ 4K無修正版のRenのレビュー・感想・評価

クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)
2.5
4K修復すごい。しっかりR18だった。初めてのデヴィッド・クローネンバーグ監督作品は、楽しめないことはなかったけど普通に難解映画。

展開もそうだが「誰の思考も理解できない」という類の難解さ。交通事故による傷の痛々しさ、濡れ場の生々しさ。観たくないのに観たい、エロいはずなのにあまりエロいと感じられないという不思議な映画体験ができる。

自動車同士の衝突(クラッシュ)、そしてセックスもまあお互いの肉体や精神をぶつける(クラッシュ)っちゃぶつけることだなと。機械と肉体、無機と有機、死と生、相反する行為を「クラッシュ」という概念一つで結びつけて観せるのは興味深く面白い。

だからって、事故と性的快楽を結びつける彼らの思考回路は理解不能。そこを乗り越えられなかったから、二つのモチーフがただモチーフとしてだけ存在していて、物語的な結び付きをあまり感じられず、結果ノりきれなかった。鬱憤や圧迫から解放されるべく諸々をクラッシュさせる、と考えれば多少は溜飲を下げられるかな。でも観賞中は目の前で起きていることが色々と衝撃で、そんなところまで思考が及ばず。

劇伴はめちゃ良かった。メロディは覚えていないけどギターがどんな音色だったかは覚えている、っていう不思議な体験ができるBGM。

おそらくは、キューブリック作品やデヴィッド・リンチ作品、『ドライヴ』『ネオン・デーモン』のニコラス・ウィンディング・レフン作品の系譜。あいにくどれもあまり自分の好みではない(『マルホランド・ドライブ』と『フルメタル・ジャケット』の前半パートは凄く好き)ので琴線にがんがん触れることはなかったけど、逆に上記監督作品が好きな方は観るのもいいかも。
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