幽斎

アンチ・ライフの幽斎のレビュー・感想・評価

アンチ・ライフ(2020年製作の映画)
3.0
世の中はあらゆるジャンルで需要と供給で成り立つ。170㎝を超える長身の女性が好きな人も居れば、小さくて可愛い人、いや俺はポッチャリ派だね、と多種多様。もし、全ての映画がオスカー作品賞的なモノだけに為れば、誰も映画を観なくなる、其処が難しい。北米は原題「Breach」だが、国際版は原案「Anti-life」。日本は北米版と同仕様、珍しくサバン・フィルムのロゴが見れる。

本作は過程抜きでは説明不可能。製作も配給も投資顧問会社Saban Capital LLCが関与。レビュー済「ライブリポート」と重複するが、この会社は俳優や監督からの持ち込み企画。つまりハリウッドのメジャーが却下、或いは自主制作紛いを躊躇なくリリース。アメリカではテスラの様に儲け過ぎると批判される風潮が有り、投資会社が映画と言う公共物を手掛ける事は、批判を躱す意味でも有益、最高責任者ハイム・サバンは、ユダヤ系アメリカ人で、特にBruce Willisと懇意にしてる。「ライブリポート」もAaron Eckhartが主演をやりたいから製作。会社から見れば、うん十億円なんて端金、ヒットするしないはメジャーと違い無関心。

監督も脚本家もC級揃いで、会社お抱えも多い。John Suits監督は私の生涯1位作品「SAW」パチもん「JIGSAWルール・オブ・デス」脚本は此れもバッタもの「アンダーワールド新種襲来」Edward Drakeの原案「Anti-life」。本来ならBruce Willisが出演する作品には、来てはイケナイ面子ばかり。そんな彼も最近はファースト・ルックの作品は皆無、チョイ役ばかり。要は短い拘束時間でソコソコ稼ぐ、お抱え芸者のスタンスで決してハリウッドでの立ち位置は良いとは言えない。分ってるだけで長編映画18本が待機中、間違いなくハリウッド1。彼も噂を気にするのか、本作では珍しく出番が多い。

ホラーに詳しい友人が「これってデッドリー・スポーンじゃん」そう言われても分らないので見せて貰ったが、安いSF映画と言うのは確かに需要は有る。Thomas JaneやRachel Nicholsが出演してるので、Aに近いB級と思っても何の不思議も無いが、中身はガッツリC級で、叩かれるのもムリも無い、スクリプトはエイリアン丸出し、私の好きなリヴァイアサンも足した感が有るが、映像的にはソコまで安い訳では無く、物語が易いと言うか、立ち位置がグラついてる。調べるとソノ理由に納得しかない。

サバン・フィルムが節税の為にカナダで製作。その最中に勃発したのが武漢ウイルスの猛威。92分と綺麗に纏めてるが、実は未撮影の部分が多々有って、当初のダークセンスなSFが、急にエイリアン壊滅へ雪崩れ込むので、相当に編集と追加撮影が大変だったろう。メジャー・スタジオなら一度製作を中断するが、資金力が有ってヒットには無関心の本作は、力技でキャストをカナダに留まらせ完成。エイリアンはクトゥルフ神話を創造したと思うが「遊星からの物体X」的に対峙するのが、Thomas Janeの役回りだった筈。スケールを壮大に広げて終わる筈が、実在する武漢ウイルスに遣られてしまった。

それでも洗剤とアルコールが基本。消毒すればOK的な小池都知事の会見の様なプロットを時間が無い中でブッ込んだのは、独立系の心意気。本編に登場した超強力トイレ洗剤が、今あれば巨万の富を得られるが、それで密造酒って発想は私には無い。それをエイリアンの攻撃に使うが、難しく火炎放射器にしなくても、直接振り撒けば・・・船が溶けるのか?"笑"。まぁ、本作にはロジックと言う概念すら皆無、予告編を見て気に入ればOKなのだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=isBKFw7R3FI

アメリカでWTAF = What the actual fuck!とまで罵られた。貴方が救って下さい"笑"。
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