じゅ

ソングバードのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

ソングバード(2020年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

人っ子一人いない大都市で自転車とかバイクとかかっ飛ばすの楽しそうだなあ。やってみたい。原付でもいいや。
クアッドコプター飛ばして空撮も良い。できれば大画面で見たい。

『Songbird』ってどういう意味なんだろう。


COVID-23が猛威を振るう未来。感染者の約半数が死に至り、世界での死者数は1億を超えた。アメリカでは政府が認めた一握りの"免疫者"のみ外出が許され、他の者は自宅から出ることも許されなかった。感染者および接触者は隔離施設"Qゾーン"に収容され、ほぼ出ることは不可能。発症者が現れた場合の事態の収拾や免疫者のID管理等を行う衛生局には腐敗の噂があった。
元弁護士補佐官であり免疫者のニコ・プライスは、レスター急配で配達員の職に就いていた。サラ・ガルシアとはカメラやドア越しながら恋人同士の関係にあり、いつか彼女と彼女の祖母リタと街を出ることを願っていた。レスター急配の顧客であるウィリアム・グリフィンとパイパー・グリフィンの夫妻は衛生局の責任者エメット・ハーランドと組んで免疫者を証明するブレスレットの闇取引をしていた。
ある日、リタに咳と発熱の症状が現れる。検温とウィルスチェックの結果は陽性であり、検査結果はすぐさま衛生局へ送られてサラもろとも局員にQゾーンへ連行されることになる。
サラから事情を聞いたニコは、グリフィン夫妻がブレスレットの闇取引をしている情報を入手し、夫妻の家に駆けつける。闇取引をしている事実が漏洩することを恐れたパイパーはニコをハーランドのもとへ向かわせ、ハーランドにニコを殺させようとする。ドーザーという、ハーランドの不正を知る男がニコの窮地に駆けつけ、ニコを逃がす。
ニコはグリフィン宅へ侵入し、ブレスレットを盗もうとするもパイパーに見つかる。ニコにとって夫妻による不正を暴くことには関心はなく、事実を口外しないことを約束してサラの情報を登録したブレスレットを受け取る。
ニコがサラの家に到着したのは、リタが亡くなってサラが局員に連行された後だった。サラが残した護送車の番号とレスターらの協力によりサラのもとへ辿り着き、局員にブレスレットを確認させてサラを解放させる。
後日、サラと共に街を出たニコからレスターへ小包が届く。中には感染者0を謳う町の絵葉書とブレスレットが。これをどう使おうが自由だが、諦めないことを約束してほしい、とニコからのメッセージ。


COVID-23って言うくらいだから2023年以降の設定になるか。空気感染して致死率50%弱とはなんとまあ進化したなあ。
俺が本作を観たのは2022年の10月だけど、来年はどうなってるだろう。


とりあえずこの世界では、ウィルスを取り込んだならば免疫者じゃなければ絶対発症するし、免疫者はどれだけ変異株が出てこようが絶対発症しないって思っとけばいいか。

一般人の金の稼ぎ方が、衛生局の仕事に就くか、グリフィン夫妻みたいに不正に走るか、ニコみたいに免疫者にのみ許された外での仕事をするかしかないように見えた。ガルシア家とかの政府の人でもなく真っ当に生きてて免疫者でもない人はどうしてたんだろう。
政府からの補償がしっかりしてたとかかな。

まあでもパンデミックそのものじゃなくてパンデミックに影響された人間とか社会を描いてるからその辺の単純化は許されてよいのだろう。


パンデミックでひっくり返るものとひっくり返らないもの。

暮らし方だの階級とか、規則なんかはひっくり返る。
弁護士補佐官としてオフィスでデスクワークをしてたリコは自転車で外を駆け回り、ゴミ収集車だったかの運転手として上司に使われていたハーランドは衛生局のトップとして局員を使う立場になった。人権云々とか自由云々が重視された社会は終わり、監視と管理の社会になった。

どんな状況でも腐敗が生じることとか、助けたい人のことは後先見ずにでも何かを犠牲にしても助けたいことはひっくり返らん。
自由を得る唯一の手段であるブレスレットは裏ルートで不正に高値で取引され、ハーランドやグリフィン夫妻といった一部の者の懐を温める。ニコはサラやリタを外に出すリスクを承知していても、それでも大切な彼女らをこの牢獄のような街から救い出したい。パイパーは免疫者である優位性を捨てて病弱な我が子のためにウィルスを持ち込まないよう篭りきり。

まとめるなら、社会はひっくり返って人間はひっくり返らんってかんじなのかな。


ドーザーさんはさ、何?
脈略なく急に都合いいタイミングで現れて「ドーザーだ」「ハーネットは人殺しだから倒しに来た」「一緒に戦え!」じゃないんよ。急展開の権化。ある程度一緒に戦った末に向かったのがハーネットのところじゃなくて出口の方で、ニコだけ逃して自分は残るっていう暗黙の退場サイン。
本当にニコがハーネットの居城から脱出できる根拠づけのためだけの登場だったんだな。あるいは殺伐とした世界観の強調のためとかなんとかで戦闘シーンを差し込みたかったのかなあ。

そのドーザーが死んだであろうハーネットの居城で彼が言ってたのが、タバコはウィルスでも殺せない我々(免疫者)を殺せるから凄い、みたいなことだったか。最終的にはニコに首に鉛筆刺されて、免疫なんて鉛筆には役立たないちたいなこと言われて死んでたっけ。
これはまあ単に映画で慢心した強大な敵を討つカッコいい演出の1つって思っておけばいいのかな。

それよりなるほどなーって思ったのが、一部の人が抱く免疫者への差別。
外に出てウィルスがくっ付くから愛する人に触れることすらできずに孤独なのに、それでも免疫がありがたいと思うか、みたいな主張が配信されてた。関所っぽいところでニコが非免疫者の兵士に嫌味っぽく言われてるシーンもあった。
少数派だからか妬ましいからか、万が一仮に我々の世界もこういう状況になったりしたらそういう差別が生まれるんだろうか。たとえば身近に免疫者がいない人だったらあり得ないことも無いかもしれんのかなあ。


あとは名前忘れたけど感染者0の場所。あれは『バイオハザード』シリーズの4か5作目辺りに出てたアルカディアみたいなかんじを想像してしまうので、ニコとかサラとかレスターには目指してもらいたくないなw

-----
【追記】
ドーザーは車椅子で6年引き篭ってるアフガン帰りの退役軍人の彼。クアッドコプターでレスターの手伝いをしててウィリアムをハジけさせた人。
戦えおじさんではない。
じゅ

じゅ