むらむら

Mr.ノーバディのむらむらのレビュー・感想・評価

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
5.0
プーチンが観たら、プチギレしそうなロシア人虐殺ムービー。

ロシア人相手やったら、何やってもいい、ってワケないやろ。まぁ面白いから許すが。

「ジョン・ウィック」の脚本家が送るアクション作品。それにしても、「ジョン・ウィック」チームが関わってる作品、めっちゃ多くないか!? 働きすぎ! 俺の無意味な人生と半分交換してよ!

この作品は、俺みたく、過去を隠して退屈な日常を生きる父親が、バスでチンピラに絡まれたことでプッツン切れてしまい、一度は秘めていた特殊能力を全開にして、悪い奴らをやっつける話。「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」で、たまにしか帰宅せず、ほぼ空気だった父ちゃん役、ボブ・オデンカークが、無双パパを好演。あ、俺、隠してる過去は覗き以外ありません。

最初のバス乱闘シーンでは、パパも傷ついたりして、まだ人間味ある感じなのに、後半加速度的に殺人マシーンへと変貌していく。全編POVでオリジナリティの塊だった監督の前作「ハードコア」とは打って変わって、使い古された設定や展開のオンパレード。

だが、それがいい。定番が悪いなんて、どこの誰が決めたのだ。定番最高! 野菜炒め定食とか唐揚げ定食みたいなの最高!

ただ、激しいアクションシーンに、オールディーズ音楽を流すのだけは、もうさすがに禁止にしてほしい。この手のシーン、色んな映画で100万回は観てる。せっかくロシア人相手なんだから、「トロイカ」とか加藤登紀子の「百万本の薔薇」くらい使ってもらっても良かったのに。

ついでに言うと、ルイ・アームストロングの「WHAT A WONDERFUL WORLD」。この作品でもノリノリでルイアーが歌ってるが、正直、食傷気味。ハリウッドでは、この曲を、毎年1回は使わなきゃ死刑になる法律でもあるんですかね。

最大の見所は、クライマックスの、「明るい八つ墓村」みたいな、様々なお手製の武器を駆使したロシア人殲滅シーン。あまりにフルボッコにされるので、監督はロシア人から、親でも殺されてるんじゃないか、と心配になる。それくらい主人公の無双ぶりが凄い。

特に最後のボスとの対決は「そんなのアリ!?」って展開。ここだけ新鮮なオチで笑ってしまった。

主人公の父親役は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ドク役のクリストファー・ロイド。撮影時80歳以上の後期高齢者なのに大活躍。

これ観たアンソニー・ホプキンスが、「ボケ老人やってる場合じゃねぇ!」って、ベッドから飛び起きて、レクター博士に復帰してくれることを期待します。

それはともかく、そのクリストファー・ロイドが作中で発する

「いささかやりすぎだが、愉快だった!」

というセリフが、この作品の全て。観終わってスカッとする作品としては、今年ベスト級の出来なので、頭カラッポにして観てほしいです。

次回作あるなら、主人公のパパ強すぎるので、敵役は核ミサイル背負ったプーチンくらいじゃないと釣り合わないと思うよ!
むらむら

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