もじゃ

竜とそばかすの姫のもじゃのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.0
「さあ世界を変えましょう」

細田守監督の長編アニメ作品。夏だねぇ。冴えない少女のスズは仮想世界で歌姫となり、嫌われものの竜と出会ってどう変わる?どう世界を変える?

大体サマーウォーズ。
誰しも現実で上手く行ってる訳ではないので、仮想世界で変身できたらイイねという願望を美しい映像で見せる。

ああ、そういうやつ?みたいな引用で各要素は構成されている。ベルはマクロスの歌姫的に見えるし、竜の城のシーンは美女と野獣。ジャスティン一味は手塚治虫キャラっぽい。散りばめたモチーフはそれぞれ役割を果たしたけれど、まとまりは感じない。歌やアクションはもう少し突き抜けたものを期待したけれど、これは意図して抑えたのかもしれない。サマーウォーズでもやった世界が一体になってウォー的なカタルシスは用意されている。

重要な主役、スズ役の中村佳穂は素晴らしい。作品自体、彼女のミュージックビデオと言っても良いくらい。作外の話だけれど、主演の発表を引っ張ったのは何だったのだろう。竜は佐藤健。サマーウォーズのときに神木隆之介君だったので、同じ事務所的なやつか。他に日テレアナウンサーが多数キャストされていて読売資本が注入されたことが感じられる。

構成を考えると、キャラも数はいるしそれぞれ掘り下げたら時間足りないので相当端折ったかな?という印象。その分作品を通るテーマはわかり易く、言いたい事は明確に伝わるように練られた印象。人の表裏を表現し、今のSNSを風刺し、現実での交流の大切さを説き、生々しい問題も見せる。

もっと素直に見ろよと自分に言いたい作品。
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