さとし

竜とそばかすの姫のさとしのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.8
これは仮想現実界の「美女と野獣」ですね。

非常にいい線行ったんですが、実にもったいないことをした作品です。もう少し丁寧に仮想現実とリアル世界の仕組みを描いてほしかったです。

この作品の良かった点はまずアートとして優れています。もう見飽きることがありません。SNSを若干意識しすぎな気もしますが、まあ、そうせざるおえないのが現代社会なんでしょう。もう不適切な行動1つ取ったらアウトな社会は生きにくいです。逃げたくもなりますね。本当に。まあ、それはそうといいところまで行ったんですね。ピークとなる夜行バスのシーンは非常に良かったです。役所さんだと全く気づきませんでした。ファンの方にお詫びしたい気分です。話のオチも良かったですね、りゅうさんの正体を暴くシーンも印象的です。

ただし、すずさんがUの世界に入ってる間彼女はどうしてたんでしょうね。「マトリックス」のネオのように眠ってたとか「サマーウオーズ」のように一生懸命アバターを操作してたとかそういうところの描き方が、ちょっと雑だったと思います。もう少しそういうところが知りたかったかなという気はしています。まあ、ああいうふうに田舎の高校生がオーバーナイトサクセスになれるかどうかは不自然ですし、ああいうふうに東京へは行けませんしあとおばあちゃんのキャラをもう少し上手く生かしてほしかったです。この映画が細田さんの集大成というのならそれは違うと思います。まだまだ今後も作品を見たいです。

まあ、まだまだ細田監督からは目が離せませんね。今後どういう仕掛けを出してくるのか楽しみです。
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