ピロシキ

カラーパープルのピロシキのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
2.9
大雨のなか乱暴に家を追い出され、ショットガンまで突きつけられて大ピンチの妹に向かって姉が言い放つ「手紙書いてネェ〜〜!!」に、不謹慎ながら派手に吹いてしまった。たしかに妹が出て行かないと物語は動かないし、妹の手紙は後半重要なキーになるのだけど……ストーリーの悲惨さよりも、プロダクションの悲惨さに声が出そうになる。ていうかファンテイジア、なんでオープニングから出なかったの。子役でもあるまいし、声も顔も違う知らないおねえさんが、8年後いきなりファンテイジアに変わってて違和感丸出しだった。しかも1945年には元気に歌ってたファンテイジアが、わずか2年後には大病でも患ったのかってぐらい一気に老け込んでて心配になった。健康上問題がなかったというのなら、問題があったのは脚本だろう。

ミュージカルパートとの接続も、うまくいっているように見えない。音楽自体にもさほど魅力を感じない。一曲も耳に残らない。せっかくシアラまで出てきたのに、踊らずフィニッシュなんてあまりにもったいない。

オリジナル版から38年を経て、女性から男性への「赦し」が新たに追加されたようだけど、同じ主題なら『哀れなるものたち』の方がよっぽどヒネりもあって、一枚上手で面白い。アホ旦那に向かって遂に激憤する食卓のシーンにはスカッとしたもんだから、【Hell Noモード】になってからのファンテイジアをもっと長く見ていたかったな。
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