創

レミニセンスの創のネタバレレビュー・内容・結末

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

思いがけず街中で好きな人の背中を見つけて上がったけど見失ってすぐ下がった。
みたいな映画だった。

ノーラン一派やで!記憶やで!SFやで!!
みたいな宣伝は残念なことにすごくよくある失敗パターンだと思う。
でもだからと言って他に集客を期待できるキーワードが浮かばないから集客という点では大成功なのかもしれない。

すごくノワールだった。
ノワールって結局なんなのかがよく分からないから説明するのは難しいのだけど、
沈みゆく都市はSFでもあるけどノワールっぽくもある。
どうやら旧式を使って半ば闇的な商売をしているのもその商売の設定自体はSFだけど微かに感じるグレーな感じはノワールっぽくもある。
時系列があちこち行き来するのもSF的な設定のせいでSFぽさが先に来るけどよく考えたらノワールじゃん。
何より思い切りファムファタールなヒロインとそれに振り回される主人公という物語自体がめちゃくちゃノワール。

SF観る気満々で観始めたけどそこに気付いてからは、お!そんな気なかったのに久々ノワール!イエイ!ってなった。
すごく雰囲気あるシーンの連続なのにその繋ぎがあんまりうまくいってなくて唐突に展開していく感じも、
ははーん。さてはこの男なんにも分かってないなんにも知らない残念な男だな?と思うとそれはそれで良かった。

ただやっぱりそういうつもりで観に行った訳ではなくて、むしろわりと正反対に近いものを期待していた訳だから戸惑いが大きかったし、
生かしきれてない謎の設定、例えば主人公と相棒が共に戦ったらしい過去の戦争とか、おじいちゃんの歌とか、せっかくのそれらが中途半端だったせいで良い映画だったなぁ。みたいな印象はそんなに残らない。
SFもノワールも中途半端だったせいだと思う。

でも最後はすごく良かった気がする。
他人から見たら惨めに過去に沈む男かもしれないけど、本人の幸せは本人が決めればまあそれで良いわよね。


ノワールはもうウケないんだろうか。
ノワールで宣伝しちゃダメだったんだろうか。

宣伝とかポスターとか忘れた頃にたまたまケーブルテレビでやってたのなんとなく観たら、あれ?こんな面白い映画だったかな?ってなるパターンだ。

ノーラン一派だからそれはそれで壮大な時間の罠にかかったみたいな気になれて悪くないのかもしれないな。
創