『ハム・オン・ライ』鑑賞後、同監督が手掛けた本作の存在を知り、鑑賞。
クラブホールが併設されたピザ屋に集まる人々の様子から、人間の抑うつ状態を描いた実験的ドラマ。
『ハム・オン・ライ』監督が、その3年前に制作した30分の短編作品。
日本語字幕がなかったため、自動音声認識機能を駆使し、英語字幕で見た。
とはいえ、そもそも、この監督の作品におけるセリフは、かなり詩的なので、どっちみち難解なのは間違いない。
それなりの長回しで切り取られるピザ屋内部、女性に話しかけたいおじさん店員が周囲の偶発的な妨害で失敗する様子が面白い。
また、前半の喧騒と後半の静寂、ピザ屋という閉じられた舞台設定ほか、『ハム・オン・ライ』と共通する部分も多数あった。
特にギター演奏を試みた中年男性が周囲の視線によるプレッシャーで逃げ出してしまう展開は、『ハム・オン・ライ』の中盤にも通ずるもの。
『ハム・オン・ライ』のダンスパーティー場面では、好意を持つ相手から選ばれなかった女子が悲しみのあまり逃げ出してしまうが、ここに監督が描きたいテーマがあるのかもと思ったり……。
土壇場で逃げ出してしまうこと、その後の心ここにあらずな不安や憂鬱感。
この不気味な恐怖描写こそが監督独自のカラーなのだろうなと思った。
正直、本作だけでは中々楽しみづらい作品ではあると思ったが、『ハム・オン・ライ』や、今後の監督作品と見比べることで、大きな意味合いを持つ短編だと思った。
参考
WILD FLIES (2016)
https://vimeo.com/190476628
(本編はこちら。)