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狼をさがしてのmuraのレビュー・感想・評価

狼をさがして(2020年製作の映画)
4.0
日本人による反日運動。それを韓国人監督がふり返る。

1974年、三菱重工東京本社ビルが爆破される。事件を起こしたのは東アジア反日武装戦線「狼」。以後、「大地の牙」「さそり」といった組織も加わり、企業をねらった連続爆破事件をくり返す。事件に関与したメンバー、また彼らを支援する人びとへのインタビューを重ね、事件の背景やメンバーの人物像などを探っていく…

メンバーたちを暴挙へと駆りたてたのは、祖国日本がアジア、琉球、アイヌモシリへと侵略をおこなったことへの反省。自分が植民地主義者の末裔だという葛藤。

なかでも大企業は、戦前・戦中の侵略に加担した反省もふまえず、戦後も資本主義のもとに経済的侵略をくり返していると。「新帝国主義」を標榜する「日帝」の手先だと。…そういった論理が攻撃の背景にある。

確かにこういった行動は暴挙。テロリズム。だが彼らのいう「反戦」は、弱者に寄り添った勇気あるものともいえる。対して我々のいう「反戦」は、ただ自分たちの安穏を願っている利己的なものなのかもと。

朝鮮人の強制連行・強制労働問題についても、こういった背景を頭に入れたうえで見るべきかもしれない。しかしテレビはこういった情報を与えてくれない。やはり映画は見ないといけないとあらためて思った。
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