回想シーンでご飯3杯いける

フレンチ・イグジット さよならは言わずにの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.0
「エブエブ」を例に出すまでも無く、おかん(母親)は映画の題材として超定番で、時代と共にその描かれ方に変遷があるのが見どころ。ここ10年だと、是枝裕和が樹木希林を起用した一連の作品や、グザヴィエ・ドランの「マイ・マザー」「マミー」辺りも印象的だった。

さて、本作でおかんを演じるのはアメリカのベテラン、ミシェル・ファイファー。夫を亡くし破産寸前の彼女が、資産をすべて現金化し、息子と二人でパリのアパートに引っ越すという話。息子との関係を軸にしているのも、気に入らないものには容赦なく「ノー」を突きつける自由奔放な母親像も、やはりドラン作品っぽい。

社会のシステムに飲み込まれない姿勢を貫く一方で、ホームレスには優しかったり、いきなりブチ切れたり、なかなか扱い辛いおかんなんだけど、パリの暮らしの中で独自の人間関係を(一部、人間以外も)築いていく過程が、何とも不思議なタッチで描かれている。

パリの街並みが魅力的なのもポイントではあるけど、主人公が吸い殻やゴミをポイ捨てするシーンが何度かあって、そこは正直矛盾を感じる。