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14歳の栞のmuraのレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.3
35人すべてを実名で登場させたことに驚く。生徒はもちろん、学校や保護者の信用を得るための苦労を考えると。

中学2年生、14歳の実像を探るドキュメンタリー。埼玉県のとある中学校の2年6組。生徒は35人。3学期、2学年を終えるまでの日々の様子を映し出す。驚くのは、クラス全員、不登校の生徒も含め、漏れなくカメラを向けてインタビューをおこなうところ。

あらためて思う。あたりまえのことだけれど、クラスを構成するのは、勉強できる子、できない子、運動できる子、できない子ばかりではないんだと。多種多様。本当にさまざま。

能力や性格の違いはよくわかるが、ここで鮮明となるのは居場所や立ち位置の違い。映画では「キャラ設定」という言葉が使われる。その方がクラスも楽しいからと努めて明るく振るまう子、友達をつくるためとクラスメイトを「いじる」子、まわりにとって自分は面倒くさい存在と自認する子…。とにかく「キャラ設定」が細かい。

そして、ほとんどの子が将来を見切っている。「どうせ無理じゃないですか」…といった空気を漂わせている。

果たして自分はどうだったんだろうか。「キャラ設定」に苦慮していたか、将来を見切っていたか。たぶんそうではなかった。そんなことを考えると心が痛くなった。

少し見えてきたこともある。早く大人になりたいと言う子と、まだ子供のままでいたいと言う子と、これについては2つに分かれる。これこそ14歳なんだろうと。
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