アネモネ

秘密の森の、その向こうのアネモネのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.5
私の大好きな小説
梨木香歩の「家守綺譚」シリーズの読後感に似た、なんとも言えないこの気持ち。。
もしかしたら夢なのかもしれないし、本当にあった出来事なのかもしれないフワフワした感覚がとても心地よく、少し切なくて
けれど心の奥がほんのり温かくなるような映画でした。

最後のセリフでネリーが「マリオン」と呼ぶところに
この映画の全てが詰まっていると思いました。
人にはそれぞれの過ごしてきた時間があって、それはかけがえのないものだって
8歳で感じたネリーは将来どんな大人になるんだろう。
子供だけど、ちゃんと両親からの愛情を理解して受け止めているし元から大人の感情を感じ取って思いやるネリーだから、この森での出来事でもっと相手を思いやれる素敵な子になるのかもしれない。

そんなネリーだから冷静なフリして対応できたんだろうけど、私だったら思わぬ再会に泣いちゃったり、質問攻めしたりするかもなー。
監督はそこを静かに温かな演出で描いていて、
だからかな
ネリーと一緒に心の中で「あ!もしかして…」とか「あ!おばあちゃん!」と鼓動を抑えながら観れたのでした。


私は、大好きな祖父母に逢えたらいいな。
2人がどんな風に若かりし頃を過ごしてきたのか、そんな話もほとんど聞いてこなかった。
最後まで家族の為に生きてきたおばあちゃんは、本当はやりたかった事とかあったんじゃないかな。。
尊敬し感謝している事さえ、言葉で伝えてこなかった。
私にはネリーが少し羨ましかったです。


今回も絵画のような、ずっと観ていたい映像美にうっとりでした。
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