かえるのエリー

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のかえるのエリーのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.0
ゲゲゲの鬼太郎は子供の頃アニメを見ていたくらいで特に思い入れもないが、本作が好評な事は耳に入っていた。娘は水木ワールドが大好きで、やっと受験が終わったので、久しぶりに母娘で劇場鑑賞。一般&中学生料金を使うより、50歳ペア料金の方がお得と学ぶ。

美少女キャラのねこ娘。ゲゲゲの鬼太郎のTVシリーズは過去に6回作製されており、本作は2018〜2020年に放送された第6期のエピソード0と言えるとのこと。なるほど、このシリーズから女子が美少女化している。あ、砂かけは変わらないが(笑)




以下ネタバレ感想




ゲゲ郎(鬼太郎の父)、最強。

妻を必死に探し、下駄とチャンチャンコを息子に託し、自分は目玉となってイクメン。野望のみで人様の気持ちを軽視する水木を諭し、嘘はいけないと伝える。着流しで飄々とし、風呂を愛す。なんという魅力的なキャラだろうか。ポスターに鬼太郎ソックリな人がいる時点で父だろうとは思っていたが、この活躍は想定外だった。

一方で銀行勤めの野心家・水木。パンフレットを読むと本作は完全なオリジナルで、原作第一話に出てくる水木に繋がるようにストーリーを繋げたそう。名前が一緒だし戦争経験もあるので作者の水木しげるのこと?と気になってしまったが、ディテールが違う(腕、銀行勤めなど)ので、当てはめない方がいい。

沙代の絶望。妖怪はそんな心の隙間に入る。一族から解放されたい気持ちと裏腹に、後戻り出来ないところに来てしまっていた彼女の最後が切ない。そして彼女をそのようにした元凶・時貞のラスボス感が良き。大友克洋「童夢」を彷彿させる。

前半は人物の頭身やバランスなど、どうでもいいところが気になり気が散ってしまったが、話が進み、美しい景色(桜のシーンは悲しくも見惚れる)も相まって、満足感で劇場を後にした。娘と映画を観れたのも嬉しかったしね。

ちなみに、娘に付き合って一昨年「水木しげるの妖怪・百鬼夜行展」に行ったのだが、そこで今までの水木先生への印象が一変、その妖怪画は実に見事だったことも記しておこう。