かえるのエリー

ロブスターのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.6
あまりにも「哀れなるものたち」が素晴らしかったために、ヨルゴス・ランティモス監督作を更に深掘りしたいと思ったら、そんな視聴者の気持ちを汲んでか、先月には観られなかった本作がアマプラに上がっていた。予備知識なしに鑑賞。キャストの豪華さにビックリ。




以下ネタバレ感想




シングルは人間やってる価値ナシ、人間以外に転換だ、ただ何の生き物かは選んでいい。。。凄いテーマだし、映画以外でそんな事を語ろうものなら炎上間違いなしだ。

主人公は恋愛対象を選ばずに収容所のようなホテルを抜け出し、シングルが潜伏する森へ逃げ込むのだが、恋愛禁止の中で恋をする矛盾。そう、恋は意図してするものではなく落ちるものなのだ。

冒頭から主人公を俯瞰して語る女性のナレーションがある。主人公の妻の声とも違うし、誰だろうかと思っていたら、主人公が恋に落ちる“近視の女”だったか。なるほど、最後のシーンで合点がいく。

どうなったかを語らないラスト。タイトルからすると、「100年生きて、最後まで性欲が落ちないロブスターになりたい」と言った主人公はやはり逃げてしまったのだろうか。冒頭のロバ?鹿?を射殺する女性。あの動物は恨みを持つ人、例えば自分の夫を奪った女とか、の生まれ変わりだろうか?倒れた横に寄ってくるツガイも意味深。最初から最後まで難しい作品ではあったが、世界観は面白かった。

そして目を見張るのが豪華キャスト!
監督の他の作品にも出ている3名(コリン、レイチェル、オリヴィア)はもちろん、ジョンCライリーやベン・ウィショー、そしてシングルチームのリーダーのレア・セドゥのクールさがたまらないね。

動物に転換というワードは最新作でも触れており、本作は解剖シーンこそ無いものの、監督の好みということはよく理解した。