かえるのエリー

スポットライト 世紀のスクープのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

3.7
マーク・ラファロ好きとして観よう観ようとマイリストに寝かせていた作品。幸いiPadにダウンロード済みだったので、新幹線の往復で観てみることに。実話の映画化故にドキュメンタリーのようにに感じ、記者魂を見せつけた骨太な作品だった。





以下ネタバレ感想





作品名こそ言わないが、ちょいちょい映画のネタに挙がること、それは聖職者(果たしてそう呼んでいいのか)の児童レイプ。本作は実話の映画化なのでもちろんだが、残念ながら世の中に多数発生している事象と思わざるをえない。エンドクレジットで249人の加害者に対し被害者は約1000人とあったが・・・1人で3桁、もしかしたら4桁の罪を犯していると思われる人物がいる。そう、ジャニー喜多川だ。

独りの声がBBCを通じて、噂は何十年も前からあったものの正式に公になった事に、日本のマスコミの歯切れは悪い。本作の事例より圧倒的に悪質にもかかわらず。本作は教会と法曹のズブズブな状態を新聞が暴くが、日本のそれは事務所とマスメディアに利害関係がある事が大きいだろう。とはいえ、どちらも強大な権力やその立場を利用し、被害者の声を押し殺したことは同じだ。

記者たちは言う、俺たちはラッキーだったのだ、と。自分が被害者になっていたかもしれないし、まさに今、被害者が生まれるかもしれない状態で911が起こる。中断せざるをえない状況は気が気でなかっただろう。しかし根気よく取材を続け最後にスクープを発表出来たことは、無論他社を出し抜いて売上を取りたい気持ちは当然ながら、その社会的意義は素晴らしいものだった。

マーク・ラファロはすっかりアベンジャーズの人と紹介される事が多いが、「死ぬまでにしたい10のこと」で初めて彼の優しい声に惚れた身としては、彼はドラマの人。「哀れなるものたち」も最高だった。(オスカー取って欲しいなぁ)
レイチェル、マイケルと脇がしっかり支える中で、この人もやってくれた。スタンリー・トゥッチ、最初その髪型で気づかなかった(笑) 彼はいつも色々な顔を見せ、私をワクワクさせてくれるのだった。