かえるのエリー

落下の解剖学のかえるのエリーのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.6
ノーチェックだった本作をここ数日で急激に耳にするようになり、「ボーはおそれている」を観ようかな〜と思っていたけど急遽こちらに変更。フランス映画だったのね。でも英語がいっぱい。それがミソ。




以下ネタバレ感想




英語タイトル “Anatomy of the fall”
直訳で「落下の解剖学」だが、亡くなった夫の解剖などはない。むしろ「転落の分析」と訳してみるとしっくりくる。

夫は自殺?事故?殺された? その答えはなかった(ちなみに主演のサンドラも監督にそこは教えてもらってないそう)。なので私のようにミステリーを期待すると肩透かしを喰らう。裁判で明らかになっていく夫婦の関係性、そして証言により人々の考えが操られる様を楽しむ(?)作品だった。

フランス人の夫がフランスを拠点にする事で本能的に主導権を握りたかったのかもしれない。ただ、ドイツ人の妻とお互い母国語ではない英語で話すこと、物書きとして妻がリードしている事など、主導権は妻にあったかと思う。となると、息子にとっても、もはや父の死因よりも”母が殺してない事“を仕立てる方が賢明な判断だったのだろう。ただそれを演出するためとはいえ、犬はたまったもんじゃない。白目剥いて怖かった。。。