かえるのエリー

夜明けのすべてのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.8
原作未読。松村北斗と上白石萌音と言えば、名作「カムカムエブリバディ」での稔と安子の好演を思い出す。本作では恋人ではないとの事だが、果たして。



以下ネタバレ感想



多くを語らずに物語は進む。社長の弟は、元上司(?)の妻は、なぜこの世から去ったのか。藤沢の母はなぜ障害を持ったのか。山添はなぜパニック障害になったのか。敢えてそれらを語らない事で、事の本質、大切な人を失った喪失感や、自分ではコントロール出来ない感情など、今を浮き彫りにしている。

薬が上手く効かないけど、山添に手を差し伸べたい。電車には乗れないけど、PMSを理解してみたい。自分の事をコントロール出来ないのに、お互いを思いやる事で、自分の事も一歩踏み出している素敵な関係(同僚)が、あっさりと別れを告げるのは意外だったが、そこにプラネタリウムや夜明けというキーワードが絡み、爽やかな幕閉じだった。

個人的には山添が今の仕事を続けると言った時の、元上司(?)の気持ちにグッときた。自転車を手に入れて行動範囲が広まったことも眩しかった。そして栗田工業は優しさに溢れていて素敵だった。