オルキリア元ちきーた

マッドストーンのオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

マッドストーン(1974年製作の映画)
3.3
うちの旦那がMADMAX(メルギブソン1979)大好きで、カワサキ好きのバイク乗りで、私も本作に出てくる年代のバイク好きなので、必然的に観る流れになった映画。

メインのバイカーが乗ってるのは殆どがカワサキだけど
主人公?のストーンが乗ってたのはイギリス車Norton
ライバルチームは殆どがハーレーという、分かりやすい構成が良いですね。

環境保護政治家が演説中に何者かに射殺される事件が起こります。

その時たまたま犯人を目撃してしまったのが、バイクチーム「墓掘り軍団(GraveDiggers)のメンバー通称「ガマ蛙(Toad)」(…彼は若かりし日のヒューキースバーン。MADMAXのトゥーカッター、「怒りのデスロード(2015)」ではイモータン・ジョー役をやった俳優さんです。)が目撃してしまう。

狙撃犯人に背中のチーム名を冠したジャケットに目をつけられ、チームの仲間達が何者かに狙われて次々に消されていきます。
命知らずな荒くれ者バイカーですが、仲間との結束力は固く、自分達の力で犯人を見つけ出して血祭りにあげてやると息巻くのですが
そこに警察から一人の男がやって来ます。
彼の名はストーン。バイカー達と行動を共にして接触してくる殺人犯を捕まえるために仲間になろうとします。
無法者を誇りにするバイカー達は警官のストーンを警戒しますが、次第にお互いに仲間意識が目覚めてきます。

果たして、殺人犯は捕まえる事が出来るのか?

というお話。

MADMAXの原型などと言われてますが、そこまでスリリングでも派手なアクションがあるわけでもない、割と地味な内容です。

字幕もチーム名やメンバーのニックネームまで訳してしまっていてダサダサで、そこがまた昭和っぽい(笑)
あだ名
midnightを「丑満」
underTakerを「葬儀屋」
stinkyを「すかしっぺ」とか
結構酷い(笑)

ただ、出てくるバイクがカッコいい。
今ではショーウィンドウに飾られるようなクラシックなカワサキZ1を綺麗に塗装し、スマートにライトカスタムしたバイクがズラリと並んで走るシーンは
バイク(カワサキ)好きなら楽しめるかと思うし
バイクチェイスやレースシーン、そしてオープニングタイトルのシーンは
バイク乗りならワクワクしながら観れると思います。

映画としては、カメラワークもグダグダだし編集も素人レベル、ストーリーも引き締まっていなくて、見事なB級〜C級レベルの作品ですが、無法者バイカーを肯定的に捉えるエピソードや司法への疑問点などをアピールするセリフなどもチラリとあったりして、キアヌリーブス主演の「ハートブルー(1991)」の原点的な印象や、オーストラリア版ニューシネマ的な場面もあって、本作がどんなコンセプトで作られているのかが伺えます。

そして、ヒューキースバーンが去年お亡くなりになった今こそ、彼の20代のギラギラした演技(ついでに全裸も)観られる貴重な作品でもあり、彼がイモータンジョーを演じてる時に着ていたコスチュームも、実はこの作品で着てるバイクチームのロゴが入ったジャケットだと気付く事で、彼がこの作品をどれだけ大切にしていたのか分かると思います。

これが「ハリーとトント」や「カッコーの巣の上で」と同じ年に上映されてた、と思うと、やっぱり良くも悪くもアメリカ映画は洗練されてるんだなぁと思いますね。