zogli

コーダ あいのうたのzogliのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
2.7
いろいろドラマ盛りすぎだなぁと思いながら観てたけどまんまとやられた
歌モノなので好きでしょうがないし、『ここは俺がなんとかするからお前はお前の道を行け』属性の兄貴にとことん弱いんだ…

ヤングケアラーとも違うけど、たとえこどもであっても自分の事は二の次で家族のために役に立つのが当たり前、外注する金もないし家族がたちいかなくなったらあんただって困るでしょ的に無料通訳+労働者として漁船に乗せられる主人公と家族内搾取が苦しかった
とにかく全てが自助の地獄だけど公的サービスは無いのかな…

漁協を立ち上げるときも奥さん連中は会計でも〜みたいな事勝手に言ってて、いや各家庭で事情も違うだろう選択肢も無いなんて女は配偶者の付属物かよと腹が立ったし時代設定古いのかと思ったらスマホ使ってるし
…地方だから?

てかスマホでメッセージにしてやりとりすれば主人公が不在でもある程度健聴者と意思疎通は出来たのではと思うシーンが多かった気がする…
兄ちゃんがルビーの友達とアレする時しか活用してなかったけども

生活音がうるさくて勉強に集中出来ないエピソードとか入れてくるのに、最後の方で「自分の発している動作音すら認識出来ない人物が、複数で、ひっそりこっそり物音を立てずに他者に気付かれずに部屋に忍び込む」とかなってて
果たしてそんな事が現実的に出来るのだろうかとちょっと疑問に思ってしまった

両親の下ネタ繰り返して入れてきたり、先生のキャラが濃すぎたり、彼氏とのエピソードがなんだかおさまりがよくなかったり(知り合いかどうか聞かれて答えが違ったけど別に過去に何かあるわけでもないしなんだったんだ?しかも仲違いする原因もわりと衝撃なのによく丸くおさまったと思うし仲直りが崖ダイブって唐突すぎる)、ドラマティックにするためにいろいろ詰め込みすぎで盛りすぎだと思うんだけど、どうやら元は仏映画らしくてそちらがどういうテイストなのかむしろ気になるところ

家族で1人だけ健聴者だったから学校に行くようになって話し方がおかしいと指摘されたってやつは、たしかに我々だってテレビとかで聞くだけで外国語のスピーキングが出来るようになるわけじゃないからそれはわかるけども
あの兄ちゃんは読唇術は出来ないひとだったのかな…ってずっとずっと気になってた

学生時代に地方の聾学校の宿舎でバイトした経験しか人生で聾唖の人たちと過ごした時間は無いけど、彼らは小さい頃から読唇術のトレーニングを受けてるからこちらが断片的にしか手話を覚えられなくてもコミュニケーション取れて寝食を共に出来てたので

聾学校とか行かずにずっと家族と暮らしてたのか、あるいは専門教育のない公立の学校で健聴者と一緒に十分なサポートも無く過ごしてたのかな…と思うと、兄ちゃんだって家族の犠牲だし
凄く悲しくなった

あと赤ちゃんの聴覚検査、そんな電極たくさんつける惨いようなやつじゃないのだが…
zogli

zogli