へたれ

シン・仮面ライダーのへたれのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
1.3
ダメだったとこ1 見づらいアクション
昭和の仮面ライダーの雰囲気を守ることにこだわりすぎて、アクション映画としての面白さが皆無。戦闘が始まると常に接写と手ブレカメラで何が起きているのか分かりづらいし、かといってそれが戦場の混乱のようなものを意図しているのでもなく単に稚拙。ライダーキックにこだわりすぎて、最初から最後までずっと同じような戦闘をするので、すべてのアクションシーンが退屈。
予算がないのか、CGも一瞬でCGと分かるぐらい雑で、ビジュアル的に楽しめるところがない。

ダメだったとこ2 設定のいい加減さ
敵味方ともに活動目的が不明で、仮面ライダーというシリーズが子供向け番組だから許されていたいい加減な設定が、あらためて映画にすると趣味の同人作品並みのダメなストーリーになってしまっていた。
主人公の本郷猛はトラウマを抱えている様子だけが繰り返されるものの、それが彼の人生をどう変えて今に至ったのかが不明。
敵のショッカーは、一瞬だけベンサムの功利主義を曲解したような行動原理が説明されるけれど、それがストーリーに何の関係もないから、単に小難しい単語を並べるとカッコよく聞こえるぐらいの感じにしか見えない。

ダメだったとこ3 会話のつまらなさ
すべての登場人物が、説明台詞か決め台詞しか言わないので、会話といいつつ会話になってない。「シン・ゴジラ」のようにすべての会話が会議の発言なのであれば、説明台詞の応酬はむしろ面白いけど、今作のように少人数で会話しながら信頼を高めていくようなストーリーにすると、会話のつまらなさが際立つ。

ダメだったとこ4 浜辺美波が演じる役の適当さ
浜辺美波が演じている緑川ルリ子という役が、弱さを抱えたクール女子という庵野秀明がいかにも書きそうなキャラクターだけど、浜辺美波がその役を消化できず、セリフを言わされているだけになっている。その結果、シーンによってまるで機械のように冷たかったり、急に人間臭くなったり、キャラクターに一貫性がない。

ダメだったとこ5 わざわざ2023年に作る意義がない
「シン・ゴジラ」には、従来のゴジラ映画では過小に扱われがちだった政治や官僚に焦点を当てるという新しさがあったけど、この「シン・仮面ライダー」には、2023年に作る新しさがまったくなかった。むしろ、昭和のノスタルジーに浸ることに「シン」を付けることへの皮肉が目立った。
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