マルケス

復讐者たちのマルケスのレビュー・感想・評価

復讐者たち(2020年製作の映画)
3.5
「目には目を、600万人には600万人を」
戦後、過激なユダヤ人グループはホロコーストの復讐“プランA”を計画していた。無差別に多数の市民を狙った計画が実行されれば世界中から非難され、イスラエル建国にも重大な影響を及ぼしかねなかった。

こうして少しずつ史実を知っていくと、生き残ったユダヤ人がみな怒りを抑えていたのではないと分かる。
戦時中だってユダヤ人は為す術もなく虐殺された訳じゃない。ワルシャワゲットーで、トレブリンカ、ソビボル、ビルケナウの各収容所で、死を覚悟で反乱・脱走を起こしている。

ユダヤ人排斥を主導したのはナチスドイツだが、一般の市民はまったくの無罪と言えるだろうか。密告、ユダヤ人商店の破壊、住民が消えた家の収奪。ナチス政権下で市民が行ったことは戦争という特殊な状況下なら許されるのか。

『復讐者たち』は観客一人ひとりに問いかける。「もし、家族が何の罪もないのに殺されたら?」復讐は何も生まない。頭では分かっていても、簡単に答えなんか出せない。
マルケス

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