リヴェット作品としては謎と謎の真相が割とはっきりしてる復讐譚だった。それゆえにリヴェットらしくない感じもした。サンドリーヌ・ボネールがほぼ出ずっぱりでサンドリーヌ・ボネール眼福映画でもある。そこまで好きでもないが気品のある彼女が歯を見せて笑うのが可愛い。姉妹二役の女性も超絶可愛い。その超絶可愛く若い女性が中年男性とあっという間に懇ろになって女性の方が入れ上げる展開は『彼女たちの舞台』なんかもそうだけど相変わらずキモい。ボネールの元彼も笑えないくらいウザいのに無下にはされない。
やっぱり長いなーと感じたけどただ眺めてるだけでも面白いなと思う。メトロやTGV、ローカル線など彼女が電車で移動するシークエンスは無駄に長いくらいでちょうどいい。観てるだけで楽しい。往路がそれなのに復路はあっさり全省略でびっくり。部屋と鉄道と真紅の配色だけでも楽しく、ボネールの寝室の壁も真紅でベッドカバーは真っ青でマーク・ロスコの複製ポスターがいくつか飾られてる。そこ此処の真紅に呼応するように同色の服を着ていたボネールは、TGVの復路以降は真紅を着ない。
「シークレット・ディフェンス」というタイトルは中盤の「機密防衛だ」という台詞になっている。ボネールの理系設定は特に関連は無いのかな。理系の冷たそうな感じはよかった。それは図書館司書ではだめだったのかも。会話できっちり話者から話者の越しバストショットが切り返されて寧ろ違和感を覚えたが、ラストの陰影の濃さは美しかった。