あーさん

天守物語のあーさんのレビュー・感想・評価

天守物語(1995年製作の映画)
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作品の登録がなかったので、同じタイトルのこちらに記載。

シネマ歌舞伎2023 第7弾
泉鏡花生誕150年記念作品③(11/3〜11/16)

"天上に暮らす姫、千年にたった一度の恋"

獅子頭の霊力により天守を司る気高い妖姫と若侍の恋を描いた鏡花戯曲の最高峰。(パンフより)

とても楽しみにしていた作品♪

今年5月、姫路城の真ん前に平成中村座(仮設)が出現!まさか本当に白鷺城(姫路城の別名)の前で、この演目が上演されるなんて❗️
奇跡のようなこの瞬間に立ち会いたかったけれど、家庭の事情でそれどころではなかったので残念ながら諦めたという経緯が。。
その時の演者は富姫→中村七之助、図書之介→中村虎之介だった(そのバージョンは後日テレビで鑑賞済み!)が、今回は"海神別荘"に続いて富姫→板東玉三郎、そして図書之介が市川海老蔵(当時)のコンビ。期待は膨らむ!!

前日に泉鏡花先生の原作を触りだけ読んで、物語の世界観を掴んでおいたのが良かった!
ほぼ、原作通りに進むお話。

なんとまぁ、異世界?への誘われた何とも言えず心地よい時間。。やはり、鏡花先生の世界観は自分にとてもしっくりくる♪

冒頭の釣りのシーンが、とても優雅で可愛らしい。侍女の名前が桔梗、女郎花、萩、葛、撫子、奥女中が薄(すすき)。いいなぁ、、この中に入りたい!
本筋とは関係ないシーンもゆったりと、たっぷりと。これがまた贅沢だなぁ。

最初観た時は生首の件に驚いたものだが…慣れとは怖いもので笑、2回目以降はああ、これね!てなもんで、むしろ笑えてしまう。

富姫と姉妹のような亀姫(猪苗代のお姫様)役の勘九郎が可愛らしいこと。しかし、二人のやりとりが生々しくて時にギョッとするやら、ユーモラスで笑えるやら、、前半のほっこりタイム。
中村獅童の朱の盤坊、市川門之助の舌長姥も見せ場があって、それぞれ楽しい。
薄役の上村吉弥の縁の下の力持ちぶり!
脇役も抜かりがない。

以下、思いつくままに印象的だったことを列挙すると…

帰したくなくなった、もう帰すまいと思う(この感じ"海神別荘"と被る…)

お姉(あね)様(by亀姫)

こんな男が欲しいねぇ〜(二人して)

するのかぇ?

今では使わない新鮮な言葉や言い回しの数々

和製シェイクスピア?

映画では嫌われがちな説明セリフの多用
(敢えて言葉を深く味わう、舞台に近い?)

海老蔵の凛々しさ

玉三郎さんの艶やかさ


前半の優雅さと後半の猛々しさがまるで別世界なのだけれど、ラストに向けてその二つの世界の融合がお見事!


これは、どうにも言葉では説明できない。。

百聞は一見に如かず!

そして、原作を存分に味わうべし。
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