もにー

パンケーキを毒見するのもにーのレビュー・感想・評価

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)
4.0
いつ広島で上映してくれるのかなと思って待っている間に、菅首相は退任を発表し、世間のメディアやワイドショーは次の自民党総裁が誰になるかという、私たちには決める事ができない事で盛り上がっている。

私は政治や選挙に興味はあるし気にしているが、知識は恥ずかしながらまだまだ深くない。それでもこの映画は十分に興味深く、楽しめた。主に現政権に対しての皮肉が随所に散りばめられているが、それはそうもなるよねと……。

次から次に出てくる不祥事や疑惑、明確な証拠を突きつけられても重ね続けられる嘘、それに対する噛み合わない質疑応答、聞かれた事に答えない、質問された当人ではなく別の人が出てきて答える、傷の入ったレコードみたいに同じ事を繰り返し答弁する、大部分を黒塗りで提出する書類etc...

普通の会社でこれをやるとまず間違いなく問題にされるはずだが、それを問題視しようとしない政権与党・大手メディア、何より私たち有権者がすぐ忘れてしまい、なあなあで逃げ切られてしまう現状は本当に如何ともしがたい。

政治に興味があろうと無かろうと、その政策は否応なく国民全員に降りかかってくる。その時に「知らなかった」「こんな事になるなんて聞いてない」などと言った所で聞いてもらえるはずもない。何故なら私たちが選挙で選んだ人たちが決めているんだから、選ぶ段階で白紙委任状を渡す(投票に行かない)のではなく、それを実現してくれそうな候補者に票を託し、自分の意思を示すのはとても大切な事だと、もっともっと沢山の有権者に感じて欲しい。

ふと気がつくと本当に生き辛い世の中になったと感じる事が増えた。ここ数年は特にそうだ。コロナ禍も落ち着く兆しを見せず、これからもウイルスとワクチンのいたちごっこは続いて行くだろう。

ここまで現政権与党の対応力を見てきた上で、今後も大丈夫だと感じている方は、選挙も投票も気にせず過ごして良いと思う。

そうではない方は、この秋にある衆議院選には是非興味を持って過ごして欲しい。そして自分たちの方を向いてくれる候補者を『投票に行く事で』応援してあげて欲しい。

私がこの映画を観に来ていた回は8割くらい席が埋まっていたが年齢層がとても高く、若い方はまばらだった。これまで、主に与党によって醸成されてきた世間の風潮として、政治や選挙の話をするのは何だか憚られる空気がずっと蔓延している。若い方々にとっては余計にそうだろうと感じる。

しかし政治は、自分や、自分の大切な人たち全ての生活に関わってくる事なのだから、もっと気軽に、それこそパンケーキでも食べながら話せるような、そんな世の中になって欲しい。

この映画はその一助となるはずだ。
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