㊗️カール・テオドア・ドライヤー
セレクション vol2 福岡開催🎉🎶
『裁かるゝジャンヌ』 (1928)
🇫🇷フランス 97分 サイレント
🇩🇰デンマークの巨匠、カール・ドライヤー監督作品 サイレント映画🎥の極北
●スタッフ
監督・脚本・編集
カール・テオドア・ドライヤー
撮影 ルドルフ・マテ
考証 ピエール・シャンピオン
(オルガン演奏 カルロ・モサホフスキ)
●キャスト
ルネ・ファルコネッティ(ジャンヌ)
ウジェーヌ・シュルヴァン(司教コシュン)
モーリス・シュッツ(ロワズルール)
ジャン・ディドウ(ギョーム)
アントナン・アルトー(マシュー)
中世フランスの英雄、ジャンヌ・ダルク
Janne d'Arc(1412頃~1431)の、辛い、異端審問から火刑を描いたもの
異端審問の古文書が撮されて、映画は始まる 半ば朽ちかけている、不気味でもある実物の古文書
この書の記述を元に、映画は作られていると字幕が出てくる
異端審問の様子は写実的
ジャンヌ・ダルク、教会側の審問官たち、そして、後で出てくる農民たちの、顔立ちと表情が、陰鬱で、中世のフランスに舞い戻って、それを撮影したかのような、バッドトリップ感と、静謐さがある
ジャンヌ・ダルクを演じたのは、当時、大衆演劇の女優であった、ルネ・ファルコネッテイ
30代でノーメイクなのに、19才のジャンヌ・ダルクを演じてしまう美貌
彼女の瞳、瞳孔は見開かれており、明らかに、神秘的体験をしたことを物語っている、また、虚ろであり、同時に、穢れのない瞳から流す涙は切実で、観客も同じく、涙をしてしまう
韻を踏むような書き方であるが、後で火刑台に立つ、ファルコネッテイの姿が真に迫っており、その彼女の首筋全面に鳥肌が出ている事を発見して、その演技と演出とデジタル技術に、鳥肌が立つ
トゲのある拷問器具が撮されて、これもリアルに怖い
神の視点で描かれたであろう俯瞰のカメラの視点が二ヵ所あって、それは、ジャンヌが火刑の為に、城から連れ出される異様な場面であって、荒い石畳が拷問器具に見えて来て、恐ろしい
神が実在するとしても、異端審問までは設計していなかった筈
ジャンヌが一人固定カメラで、クローズアップで撮られていて、これに対して、異端審問官たちが左から右への移動撮影で群衆的に捉えられていて、その好色そうな顔々は、明らかに、結論ありきで裁判としての体をなしていない
また、哀しい事に、ジャンヌ・ダルクは文盲であり、自己弁護の術を持ち合わせてはいない
ドライアー監督は、プロテスタントであり、明らかに、教会を、カトリックを批判していると思う
王権神授説の名において、国王と教会が結託して、農民たちを、恐怖で支配する構図
そして、火刑をきっかけとして、暴動を
起こす農民たちを描いている
社会派として、当時のドキュメントを撮ろうとする、意識の気高さ
同時に、神への問いかけ、投げ掛けを、映画の中で幾度も繰り返している、祈りのように
ジャンヌ・ダルクが、最後に観た光景は、十字架か、それとも、自由に羽ばたく鳩であろうか
ジャンヌ・ダルクという奇跡の存在の価値を、この映画は、永遠に捉えている
KBCシネマ🎦 (聖地枠)
シネマ2
2024ー25ー19