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聖地XのRenのレビュー・感想・評価

聖地X(2021年製作の映画)
3.5
奇怪な映画観ちゃった。評価低いけど、悪様に言うような映画では絶対にない。ぜひ前情報を入れずに、「これどういう話になっていくの?」を楽しみたい一作。ホラーのふりをしたSFコメディ。

スコアは低めだけど刺さる人には刺さる系なので、私は性癖にちゃんとハマった。やっぱり岡田将生には拗らせて喚いていてほしいし、川口春奈には眉をひそめて顔をしかめていてほしいよね〜と思えた映画。

『ミッドサマー』のようなホラーを身構えていたら、もっとヘンな発明をしていた映画だった。過去の全てのホラー映画の霊を解釈し、視覚的にもとことん面白く、意外性たっぷりに見せてくれた。霊とは情報である。これ以上ない納得感。
感覚としては、『ドロステのはてで僕ら』を観たときのそれに近い。あるジャンルを描きながら、きちんとルールを定めて、そのルールの中で目一杯楽しませてやろう!っていう感じ。ミニマムに発明する感じ。

ストーリーも面白いんだけど、だんだんと「他者が記憶として存在し続けること」「存在証明は他人というフィルターを通して行われるもの」の話になっていくのがすごく良い。このテーマが最後には、ルックの奇怪さと相まって鮮烈に映った。

日本から近すぎず遠すぎない異国で、なんでこんな(日本ではない)場所にあなたがいるの?という不穏な雰囲気に飲まれるためには、韓国ロケが必要だった。

岡田将生ファン、川口春奈ファンは観て損なし!万人受けはしないだろうけど、刺さった人と話したくなるような、カルトな工夫と楽しさに溢れた映画だった。



《⚠️以下、ネタバレ有り⚠️》










ドッペルゲンガー的な存在が、元の人間から記憶を取り出して生み出されることを利用して、「3人目を作為的に産み出す」展開に持って行くのがお見事。こうなるとは思わなかった。
ラストに、3人目と殺し合いになる展開があるが、ここも 過去を忘れること=殺すこと という見せ方をしているからこそショッキングに映る。さらにその相手は「自分の知っている情報・記憶」で出来上がっているから、自分という存在は他者の存在があってこそ成り立つことを示唆している。
ドッペルゲンガー合体のシーンは、ギリギリチープな見せ方と、御神木や井戸を背景に行われるJホラー感が相まって異様で良かった。
幽霊ってこういうことなのか!という勉強にもなった一作。これを踏まえて先代のJホラーを観てみるとまた景色が変わるかも。

その他、
○ 岡田将生がトリックを説明するシーン好きすぎる。ちゃんとロジックの納得感もあるし。彼の真骨頂。
○ 渋川清彦ってこんな棒読み?ド下手だったけど。
○ 薬丸翔は初めて見たけど、イノッチとこがけんがチラついて仕方なかった。
○ お手伝いさん役のパク・イヒョン可愛い....!
○ 鏡はドッペルゲンガー、水は記憶が溢れることのメタファーで間違いないですが、ちょっとクドい気も。
○ 記憶の異なる自分が交わること。「せいちエックス」というより「せいちクロス」?
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