イライライジャ

グレート・インディアン・キッチンのイライライジャのレビュー・感想・評価

3.5
ケララ州の上位カースト同士が結婚。経済的地位の高い男性だが、典型的な家父長制と女性嫌悪の日々が待っている地獄のキッチン映画。
胸糞悪すぎてどうかこの家に突如殺人鬼が現れてこいつら殺してくれないかなと願いながら観てた。

朝飯を作り、飯をよそい、チャイを入れ、食器を片付け、再び飯を作り、と何度も反復する。包丁の音や煮込む音、グルメ映画なら腹が鳴りそうなところだが、この映画の音は聞いているだけで息が詰まる。

登場人物に名前がないが、敢えて普遍性を訴えている。しかし唯一名前を持つ女性は不可触民。生理の穢れは厳格なのに対し、不浄とされるダリット女性に家事を頼むのはこの家庭が比較的リベラルな思考を持っているのではないかと思う。(この女性だけ名前があるのは何だかあざといが)
つまり、夫や義父は自らをミソジニーとは思っておらず、言ってしまえばインド全土の多くの人々はこの光景を当たり前だと思っている。

本作は教育を受けている女性だから道が開けるが、多くはそうではない。この生活に耐えるしかなく、現実世界ではそう簡単に救われない。