岩嵜修平

すべてうまくいきますようにの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

3.6
やっぱりフランソワ・オゾンは合わない…。『Summer of 85』×『さざなみ』みたいな話へのソフィー・マルソーとアンドレ・デュソリエとシャーロット・ランプリングの配役は見事だけど、現代フランス映画の秀作に比べると退屈。ただ、安楽死というテーマ自体はズシリと。

父親を、起業家で美術品蒐集家の金持ちという設定にしたのが絶妙(自伝的小説が原作なので実際にそうなのだろうが)で、異常にプライドが高い嫌な感じの爺だからこそ、安楽死という選択への家族の気持ちの揺れに複雑さが増す。更に、後半で観客に知らされる、ある事実も、家族の彼への想いの微妙さに。

原作を書いたのが、オゾン過去作の脚本家で、しかも、若くして既に亡くなっていると。彼女を映画として遺すための作品と思うと…。
岩嵜修平

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