でしょうかな

ニトラム/NITRAMのでしょうかなのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
4.4
オーストラリア南部に位置するタスマニア島。両親と暮らしている青年は定職にも就かず、いつも花火で遊んでいた。ある日、近隣住民に草刈りの営業をしていたところ、ヘレンという女性に受け入れられ、やがて彼女と親密になっていくが…。

1996年、35人が亡くなったポートアーサー銃乱射事件の犯人を描く。一部は脚色されているが、どうやら大半は史実に基づいている模様。なお、銃撃の様子は直接的には描かれない。
「ニトラム」と呼ばれる主人公は精神障害を抱えており、日中に花火で遊んだり、運転中にハンドルを掴むなど、周囲を困らせるような言動を繰り返す。当然周囲はそれを疎んじるのだが、故に彼は社会に恨みつらみを募らせていく。このフラストレーション、確かに身勝手でほとんど逆恨みではあるんだけど、ニトラム自身、自分が浮いていることは分かっており、でも自分ではどうしようもない衝動がますます奇行と怒りに繋がるってのが、ちょっと共感できてしまうところはあって…なかなか胸に来るものがあった。劇伴がほぼ無く環境音は騒がしく、静けさと騒々しさから生まれる狂気。
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