ひろ

かもめ食堂のひろのレビュー・感想・評価

かもめ食堂(2005年製作の映画)
3.9
原作は人気作家、エッセイストの群ようこ。監督は荻上直子。小林聡美、片桐はいり、もたいまさこのトリプル主演による2006年の日本映画

いいね。癒される。ムーミンが住んでいる美しい国フィンランドを舞台に、3人の個性派女優が織り成すスロー・ムービー。原作の群ようこも荻上直子監督も、女性に絶大な人気を誇るクリエーターだ。そんな2人が創造した世界観は、優しさとぬくもりで溢れている。

ヘルシンキの街の雰囲気も素晴らしいが、素朴で親しみがわく“かもめ食堂”を作り上げたのが何より素晴らしい。フィンランドの有名なインテリアブランドなどで彩られた食堂。派手すぎず、センスが光る内装は観ていて楽しい。

そして、3人の主演女優の存在感が映画をヒット作にしたのだと思う。小林聡美演じるサチエ。裏がない無垢な心が人々を包み込む。煮込んでも灰汁が出なそうな、透明感のある小林聡美の魅力が存分に発揮されている。逆に、いい意味で豚骨スープ並みにこってりな片桐はいり。なんなんだこの存在感。この強烈な個性と小林聡美の組み合わせが絶妙。

さらに、もたいまさこ。ほとんど素なんじゃないかと疑いたくなる不思議な人柄を演じていたが、この女優の個性は言葉で説明できるものじゃない。もたいまさこの独特の雰囲気を味わってもらいたい。

この映画の極めつけは、かもめ食堂のメニューの数々だ。シナモンロールやメンチカツ、どれも美味しそうで食べたくなる。特にかもめ食堂のメインであるおにぎりを握るシーンは大好きだ。

人がおにぎりを握るしぐさって、完璧な美しさだと思う。あれほど完成された美はなかなかないよ。そして、人が握ったおにぎりは、何より美味しいものだ。

ヘルシンキと個性派女優と美味しそうな食べ物。これだけ楽しむ要素があったら十分でしょ。これからコーヒーを淹れる時は、「コピ・ルアック」って言うようにしよっと( ̄▽ ̄)b
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