FumiyaIwashina

戦場のピアニストのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
3.6
第二次世界大戦中、ドイツ軍の支配下にあったワルシャワに暮らすシュピルマンの物語。ユダヤ人の彼はゲットーや労働場、ポーランド人の友人の家、廃墟など様々なところを転々としながら、必死で生き延びる。
ドイツ軍に見つかったら終わりという緊張感やエイドリアン・ブロディのやつれていく風貌、町全体が瓦礫の山と化した光景などから当時の過酷さが十分に伝わってきた。
迫害対象のユダヤ人はこれまでルールを守っていても、歯向かえば殺され、疑いをかけられても殺され、用済みになっても殺され、その他ドイツ軍の気分によっても殺されるなど理不尽極まりない状況。通りに多くの遺体がそのまま放置されてるのがなんとも酷い。
また、隠れて生き延びたとしても、食料の不足や劣悪な生活環境、いつ死ぬかもわからないという精神的な圧迫感がとても苦しそうだった。
そんななかラストの気持ちのこもった演奏は見事。その音色によって、残酷な現実の中に希望を見いだすこともできる。夕陽をあれほど美しいと感じるとは。