ぬーたん

戦場のピアニストのぬーたんのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
3.8
ピアニスト③タイトルにピアニストが付いてる映画は?と聞かれたら誰もが真っ先に浮かぶのが今作では?原題も『The Pianist』ピアノの演奏シーンも素晴らしいが、戦争の悲惨さ、ナチスの残虐さ、このピアニストの辿る想像を絶する道に大きく心を奪われる。実在のウワディスワフ・シュピルマンが書いた『ある都市の死』を脚色し映画化したが、彼は映画化の前2000年に亡くなっている。
彼の体験、ナチス・ドイツ占領下のポーランドの凄まじいユダヤ人迫害と人々の苦悩を描く。
なるほど監督はロマン・ポランスキー。自身もポーランド人でユダヤ人で、本人も家族も強制収容所に入れられ、母を殺された。魂の入った映画だ。
ピアニストのシュピルマン役はエイドリアン・ブロディ。その父はポーランド系ユダヤ人で家族をホロコーストで亡くしているという。今作でアカデミー主演男優賞受賞。まだ29歳だった。実はこの映画、公開時に映画館で観たが、エイドリアンをよく知らなくて、魔女のような鼻の顔も弱々しい雰囲気も好きになれず、別の俳優の方が良かったのでは、と思った記憶が‥(エイドごめんよ)その後は大活躍で、その個性に惹かれ、好きと言う程ではないが良いなあと思う俳優になり、18年ぶりに今作を見たら、エイドリアン良かったぜ!となった。自分の歳のせいもあるのかしらん?
大きな手だが細く長い指が奏でる静と動の揺れるピアノの音に、魅了される。しかし、その場所は決して幸せな場所ではなく、悲しみの旋律が響く。
エンドロールのピアノ演奏で初めて報われた気がした。
前半はナチスのユダヤ人迫害が日に日に増していき残酷なシーン多めで、観るのも辛く、暗く重い気持ちで耐える。
中盤からは、生き延びるために必死な彼をどう観て良いのか、ちょっと気持ちの整理が付かない。匿うドイツ人も命がけだ。
ラスト近くに出るドイツ将校は、後にヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉だと分かる。この人も実在で、多くのポーランドのユダヤ人を助けた人物として有名らしい。演じたのはトーマス・クレッチマン。東ドイツに生まれ19歳で西ドイツに亡命した、元水泳選手だという。ヒトラー関係の映画に多く出てるところを見るとナチスの役かな?軍服が似合う長身でイケメンだ。
シュピルマン本人はエイドリアンには全く容姿は似てなくて😅かなりのイケメンだ。その長男は日本に住み働き日本人と結婚。戦後の父の人生を『シュピルマンの時計』という本で書いている。これは是非読みたいが、文庫化されてなくて高い!図書館で借りよう。
ホーゼンフェルト本人もキリっとした顔でいかにも賢そうな風貌だ。
『「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校』という長ーいタイトルの本に詳しいらしいがこちらも高いから図書館だな!
150分と長いが一気に観ずにはいられなくなる。
淡々とした描き方は好みもあるだろうが。
瓦礫の建物の道を歩くエイドリアンの姿が悲しい。
音楽も良いし、ラストが意外にさらりとしているのも良かった。
ピアニストを描いた作品に駄作無し!という結論に至った。
タイトルにピアニストは付いていないが『ラ・ラ・ランド』『グリーン・ブック』もピアニストの話で演奏シーンが多かった。そして最高の映画だったしね。
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