yukihiro084

流浪の月のyukihiro084のレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.0
夜のアイス。ケチャップいっぱいの
オムライス。デリバリーピザを
独り占め。浴槽で声を出して大騒ぎ。
寝転がりながら好きなテレビを見る。

普段からやりたかったこと。
ずっとずっとやりたかったこと。
何をやっても怒られない世界。
何をやっても笑い飛ばしてくれる
相手がいる世界。

もしかしたら、アイスもケチャップも
ピザもそんな好きじゃないのかも
知れない。ただ、ただその(行為)を
やれる喜びがそこにはあった。
もう、そう思っただけで、それまでの
少女の日々を思っただけで、心が
ギュュッとなる。

風を含んだカーテンを見上げるシーンが
2度出てくる。文とのシーン。
風を含んだカーテンは自由にその
形を変え、のびのびとその(身体)を
広げて、その空間を泳いでいる。
それまでの窮屈な日々をまるで
あざ笑うようなカーテンが印象深い。

相変わらず、思い入れのある小説の
映画化作品は、スルーしてしまう。
ダメな習慣だね。次回はちゃんと
映画館に行きます。(でもみんな
どうしてるんだろう?)原作は
(あれ以上にない)作品だった。
なので、フラットに評価は出来ない。
やっと観た。

良かったです。不満点もあるけど、
スタッフ、キャスト全員が真剣に丁寧に
創ってくれた作品だと感じました。
何よりキャストがみんな良かったです。

特に、更紗の子役時代を演じた、
白鳥玉季さん、凄く良かった。
作品のトーンや方向性を決めて
しまうキャラクターだったけど、
すごく良かった。

さて、全体に良かったですけど、
ラスト。(ラスト)も描いてほしかった。

僕だけではないと思うけど、原作の
流浪の月は、読む者に勇気を与える
『希望の物語』だと思うんです。

決して(可哀想な人たち)のお話では
なく、ちゃんとそこには希望があった。
そして、その希望は、ラストを描いて
初めて完結するものだと思う。そして、
梨花は、三番手に来ていいくらい、
(文と更紗と梨花の物語)と言い切って
もいいくらい、大切なキャラクター
だった。
原作の梨花は、勇者だったし、逞しく、
公平で、希望でもだった。
いろんな煩わしいモノを蹴散らして
くれる存在だった。惜しい。
個人的な意見かもしれないけど、
そこを描かないと、ただしんどいだけの
ラブストーリーになっちゃうと思うよ。
そもそもラブストーリーでもない。
だってこれは(大切な居場所)の
話なんだからさ。

でも何度も言うけど、
松坂桃李くんと広瀬すずちゃんも
横原流星くんも趣里さんも
みんな良かった。どのシーンも
見入ってしまった。
音楽とカメラワークも良かった。
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