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沈黙のパレードのしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
3.5
原作既読。割と内容を忘れていたけど、原作に忠実に描かれていたのではないかと思う。

まず冒頭のJupiterをバックに 佐織がいかに町のみんなに愛されていたかを描いたシークエンスがとても良かった。
たった5分程度しか無いのに、役者陣の演技のせいもあって葬儀のシーンで思わず涙がにじんでしまったのは我ながら驚いた。

それだけ役者陣はとても良くて、中でもずんの飯尾が上手くてびっくり。普段の人の良さと、悲しみと憎しみに苦悩する姿をリアリティを持って描けていたし、戸田菜穂との夫婦感も含めて「みんなに愛される感じがいい家族」という雰囲気がすごく伝わってくる。


ガリレオメンバーで言えば湯川教授が真夏の方程式ぐらいからすっかり丸くなって普通に人の感情も分かるようになってきているのを成長と見るべきか、キャラ変と見るべきかは分からないけど、今回容疑者Xでの苦い経験について言及するシーンがあった事を踏まえると成長なのかもしれない。

草薙役の北村一輝はいつにないシリアス路線で、そんな彼を気遣って動く湯川先生との友情も胸アツ。二人の間で戸惑いながらも控えめにサポートする柴咲コウのトリオは安定し、シリーズものとしての強みが出ていると思う。


以下ネタバレあります



ストーリー自体は割と早めにアガサクリスティ的な話かなと見当がつくのだが、そこからもう一捻り、二捻りある展開で面白く見られた。まさか!という程の驚きはないものの、役者陣の重厚な演技もあって見ごたえはあるが、あの仲良し町内の中でこの結末は後々大変そうだなと思う。

・皆の期待の星だった佐織だが、実は本人はプレッシャーになっていたという話は結構切ないものがある。自分から歌手になりたいと言ったくせにという思いもあるけど、周囲が盛り上がりすぎてどんどん話が進んでいく戸惑いもあったのかもしれない。
・椎名桔平が珍しく穏やかでダンディな作曲家役で生徒が惚れるのも納得のカッコよさだったけど、やっぱり椎名桔平がキャスティングされてるからにはなんかやる。
・北村一輝の苦悩が深まりと、無精ひげの長さと、色気が正比例している
・「沈黙の」という割に町内の人達が沈黙してるシーンがあまり無かったような気がする。原作をよく覚えてないけど、「何か隠してる」感がもうちょっとあったような気が。
・あと蓮沼寛一に部屋を貸していた増村栄治が実は関係者だった部分は原作では結構驚きポイントだった気がするけどサラーっと開示されていた。
・全体的に原作よりもミステリー色が薄くて人間ドラマにさらに重点を置いてる印象。
・ガリレオは柴咲コウが良いという事を再確認
・エンディングで過去の作品のシーンが走馬灯のように出てきたけど、これで最後なの?
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