もるがな

LAMB/ラムのもるがなのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.1
アイスランドの雄大な自然と寒々しいトーンの空気感。ロケーションだけでいうなら満点であり、そこに混じる異形の存在もあってヒタヒタと忍び寄る不穏さがある。しかしながら劇的なことは起こりそうで起こらず、何かを期待する人にとっては肩透かしに感じるのも事実で、そこの部分で好みが分かれる所。ただ、異形のいる日常としての不自然なまでの「当たり前さ」はある意味では非常にリアルで、異形の赤子アダが現実と接続しそうでするするとすり抜けていくような、そんな足元の覚束ない不安感がある。

一つ一つの印象深いカットなどは映画らしい映画といった感じであり、一切の説明を排除したわりにはカメラワークは雄弁で、暗喩めいて難解そうでありながら、順を追っていけば「まあそうなるよな……」と諦めに似た気持ちを実感してしまう。一言で言うなら物語性を極度に排した「報い」の物語であり、ただそれを眺めて終わったな、というのが正直な感想です。
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