サッカーの審判さんに焦点を当てたドキュメントタッチのショートフィルム。
わずかな尺ながら、スタジアムの興奮の中で、審判がどんなことを考え、どう動き、何を決断しているかかが克明に描かれていくのを観ているだけで感心しっぱなし。さらに強く感じるのは、審判がいかに試合の鍵を握っているか…、ファウルか否か、PKでいいのか?イエローは出すべきか?あらゆる状況の積み重ねが刻一刻と進む試合の流れをいかようにも変えてしまう。
だからこそ審判には多大な責任が伴うし、それこそ精神をすり減らしてまで真剣に試合に挑む。その覚悟はもしかしたら選手以上なのかも。
具体的には伏せておくけれど、ただ審判の行動を追いかけるドキュメントにとどまらず、主人公の審判と、かつて審判であった父親とのさりげないやりとりからうまく内面にまで切り込んで描いているのがとても上手い。
さまざまなことを考えさせてくれるという意味でも、もちろん単に試合の裏側を覗き込み臨場感を味わうだけでも、どちらにしてもかなり楽しめる新たな視点の映画だと思う。できればスマホではなくて出来るだけ大きめの画面と大音量での鑑賞をオススメしたい。
(ショートフィルムスコア 4.0)