てれ

世界で一番美しい少年のてれのレビュー・感想・評価

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
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今まで観たドキュメンタリーで比較的スコアがつけがたいので今回つけません。

まず始めに私がビョルン・アンドレセンについて事前に知っていたこと
・タッジオ役の影響が大きすぎたためにずっと苦しんでいた
・本当は音楽の道に進みたかった
・父親に捨てられて母親が自殺してしまった
・自分の子供を赤ちゃんの時に亡くしている

ドキュメンタリー観て分かった問題点
・映画でのタッジオ役を現実でも求められた
・「美少年」として売れたビョルンを一人の子供として指導する大人が皆無だった
・ゆえに子供ながら性的な目線を執拗に向けられていた
・家庭環境と祖母

ビョルンと彼の妹さんの幼少期の映像や写真が残っていたり、ビョルンの母親が詩人で写真家だったことなど知らなかったことが次々とあって驚いた。

ヴィスコンティとその周りのゲイコミュニティによる性的虐待の部分が心の傷になっていて、更に幼少期に母親を亡くしたことと息子が突然死したことが深い傷になっている、という印象を受けた。母親の死亡した状況の詳細を読んで涙する場面が、観ていてこちらまで辛くなった。

観終わった後、ビョルンが心穏やかに暮らせますようにって願ってしまったが、そう願うこともなんだか彼の意思を無視してしまってるのではないかと懸念している。
私は「ベニスに死す」を観た時、タッジオあるいはビョルンをただひたすら美しいと思っていた。まるで西洋絵画やギリシア彫刻を何時間も鑑賞しているような、そういう意識だった。けれど、彼を美しいと思うことすらも彼を傷つけるのではないかと、今私は思い始めた。私は「ベニスに死す」を映画として好きでいていいのか、どうすればいいのか、分からなくなった。
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