良かったとこ1 巧みな編集と再現ドラマ
洞窟の中の映像は、かなりの部分が救助した本人による再現ドラマとCGマップで補われている。ところが、実際のニュース映像と再現ドラマの境目がほとんど気にならないように編集されているので、救出作業にカメラが密着していたと錯覚するような自然さ。
ハイライトの一つになる少年たちの生存が確認できたシーンでは、再現ドラマから実際の映像にスムーズに切り替わって感動を盛り上げていた。
良かったとこ2 ヒーローらしくないヒーロー像
当時のニュースでは、なんとなく大勢の人たちが救助に携わった程度の認識しかなかったけれど、洞窟潜水というレアな趣味が陽の目を見たという展開がアツい。世界各国から奇特な趣味(褒め言葉)を持つ洞窟ダイバーたちが集まってくる中盤は、アベンジャーズ並みにちょっとしたアッセンブル感があった。
ダメだったとこ 客観性は低い
洞窟内の酸素濃度や、救出方法に関するリスクなど、医学的にかなりヤバい状況だったことは示されているけれど、それらについてどのように対処したのかといったことはあまり説明されない。救出中にも危機的状況が出てくるけど、そこも助かったので問題なしといった描き方。あくまでも奇跡を讃える映画なので、ドキュメンタリー映画としての客観性はほとんどない。
