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Benediction(原題)のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

Benediction(原題)(2021年製作の映画)
2.5
プライド月間にあやかりLGBTQ+映画をどんどん観てレビューしてみよう。といっても新作はこれで多分終わり。既存作のお勧めなどあれば教えてくださいな。特に本作イマイチだったのでリベンジしたい。反戦詩人ジークフリード・サスーンの伝記映画。批評的には高評価のようなのですがあいにく私には良さが全くわからず... いや、劇場の皆様も途中でスナックを買いにお出かけしたり、全然集中してない感じでありました。

第一次世界大戦中、政府が不必要に戦争を引き延ばしていると抗議した軍人サスーンは精神病院にぶち込まれます。戦争のトラウマ、ウィルフレッド・オーウェンとの出会いと別れ、その後の恋愛や結婚、そして晩年までが描かれます。

普通の伝記映画っぽい場面を主体に、自然の情景や昔の記録映像、テイストの異なる音楽など異素材を組み合わせているのが特徴的です。また、それらの切り替えも異常なまでに凝ったどうだカッコイイだろう的な演出をしているのですが、繋ぎに拘りが感じられるだけで全く調和はしておらずこりゃバラバラ殺人事件...

そもそも、詩人さんの伝記映画なのに映画を観終わってもこの方の詩を読んでみようとは微塵も思わず。とてもじゃないけど人として魅力的な感じはしませんでした。

特に戦後の恋愛模様などは、ことごとく「男の趣味悪いな。選ぶのそっちじゃないだろ。」とツッコミたくなりました。じゃあ100歩譲ってそこはいいとして、交際中の互いに対する態度がサスーンも相手もひどすぎて、今度は「なんで君たち付き合っているんですか?」とツッコミます。カミングアウトした上で結婚した女性とのダンスのシーンが唯一相性がよいと言えないこともないかな、くらい。

観客が気を遣って汲み取ってあげれば、最初に精神病院で出会った最愛のオーウェンと彼の詩(と死)をずっと引きずっていて健全な人間関係が築けなくなってしまったということなのでしょうが、オーウェンとの関係の描写も極めて不十分で全然あれでは伝わらない。

タイトルはBenediction(祝福)。残念ながらこの映画によってサスーンの人生が祝福されたとは到底言い難い。高評価の批評を読むと、描かれたモノを評価しているわけではなく、個人的にサスーンに思い入れがある人が自分なりの注釈をつけたり行間を読むことで沁みただけな感じがしました。

予告編:https://youtu.be/JwWHZsHkXHc
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