もるがな

雨を告げる漂流団地のもるがなのレビュー・感想・評価

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)
3.7
団地ごと漂流する少年少女の一夏の冒険譚かと思いきや、思った以上のガチサバイバルでびっくり。明確な敵が存在しない反面、設定から想像するファンタジックな救済がなく、海の真ん中に放り出された老朽化した団地というシチュエーションが思いっきり少年少女を追い込んでいく。サバイバル描写にめちゃくちゃリアリティがあるというわけではないものの、備蓄した食料はすぐに底をつき、諍いは絶えない有様はまさに極限サバイバルスリラーと言っても過言ではない。

明確なテーマはあるようでなく、また一本芯が通っているかと言われたらそれも曖昧で、サッカー部の連帯感がイマイチ伝わらなかったり、感情面でのアヤなどのツメの甘さが目立つ印象で、特に異常な状況になった原因の開示や、クライマックスの動線などはやや合理性に欠けるせいか、もう少しキャッチーかつシンプルに削ぎ落とすべきだったように思う。叩くほど酷い作品ではないものの、これ一本で評価するには少し厳しくならざるを得ない、そんな作品である。不破を巻き起こしまくった可愛いスネ夫みたいな女の子と、主題歌のずとまよの曲はとてもよかった。
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