スナフ菌

弟とアンドロイドと僕のスナフ菌のレビュー・感想・評価

弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)
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僕はいますか?


「自分とは何なのか」、「存在意義」などについて考えさせられました。度々問われ続けてきた哲学的な問いではあるのかもしれないが、ここに自分のアンドロイドを作るというSF的な設定を繋げているのが個人的にすごく好きです!

まず、映画美術の観点から素晴らしいと思う。洋館の中はホラー的でとても不気味。
全編土砂降りなので作品全体に悲壮感があります。

そして豊川悦司さんの演技素晴らしいです!抜け殻というか、自分が何者なのか分かっていない感が伝わってきます!

人間は他者に自分の存在意義を見出すと聞いたことがあります。この作品も同じで、皆が何かに依存し、存在意義を見出すがゆえにそれを失いそうになった瞬間に狂気性を発揮するというのが全てのキャラクターに平等に描かれているように感じました。主人公の場合はまさしくそれが、アンドロイドでした。アンドロイドを父に見せることも彼の依存先だったからこそ、病院でのあの発狂だと思います。

そして爆誕したアンドロイドもまた、「僕はいますか?」と自分を失ってしまう訳です。このアンドロイドを生み出したのが主人公であるというのも感慨深い、、。

最後は同じ自分を失った者同士で抱き合って終わるという少し希望を感じるラストでよかったかも、、、。
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