滝和也

宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章-STASHA-の滝和也のレビュー・感想・評価

4.2
何と言う
惜しみなき愛!

悲しみと運命(さだめ)
そして身を捨てて
人を助くその心

正に大和、いやヤマト!
全編泣きどころ!

「宇宙戦艦ヤマト2205
 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-」

宇宙戦艦ヤマトリブート第3作。圧倒的な愛、身を捨ててまで貫くその愛、人としての道を説くかのその姿勢。正に愛の戦士たちである宇宙戦艦ヤマト本来の良さを完璧に打ち出した傑作として蘇りました。

前編においてガミラス星を爆破、そのエネルギーにより、イスカンダルをワープさせ拉致したデザリアム艦隊。ガミラス移民団はイスカンダルに着水、それを護るデスラー艦隊だが、窮地に追い込まれる。地球からのヤマトを旗艦とする救援艦隊が到着。再ワープを目論むデザリウム艦隊を決死の波動砲作戦にて蹴散らすが…そこに…敵の旗艦、移動惑星ゴルバが現れる…。

正に傑作リブート。原典新たなる旅立ちのアラを全て埋めてくる。ご都合的な展開をより緻密な設定で埋め、ヤマト世界の歴史を俯瞰で見ることができるリブート故の利点を活かしたアイデアにより、より進化した物語を構築している。尺の長さが正に良い方向にいき、その子細はネタバレ故に語れないが、ヤマトファンにはそう来るか!と膝をうち、やるなぁと納得させる展開の妙を見せてくれる。

ただ…そのアイデアもヤマト本来が持つ自己犠牲すら厭わない惜しみなき愛がなければ意味はないのだが、今作はその本筋が美しいまでに描かれている。それはより現代的に優しさと救いを持って。その優しさは甘さではなく、今の時代には必要な救い…ヤマト自体が作られた時代の差だろう。70年代後半には明るい未来がよりあった。だが今の混沌たる時代にはより心の救いがあって然るべきだろう。

デスラー総統。前作までのリブートではやや軸がぶれてしまっていた。人民への愛ゆえの簒奪者、征服者。そのポジションがリブート処作の設定変更によりぶれた影響が前作まであった。だが、今作のデスラー像は正にそのポジションに戻り、その愛に葛藤するデスラーのカッコ良さが見事にリブートされた。その台詞一つ一つに圧倒的な存在感があり、山ちゃんの名演がデスラーの人物像にピタリハマり、遂に伊武雅刀の影をうち払った。山ちゃんの持ち役にガッツリなったと言えましょう。

またヤマト3から配された土門他新規メンバーもうまく活かされています。艦長となった古代のポジションを浮き彫りにしながらも、若き世代がヤマトと言う船の中で愛を叫ぶ(笑)。作品を引っ張るもう一つの鍵になってる。

ヒロイン、スターシャ。その遍く人への救済を行う星イスカンダルそのモノである存在。その存在はより現代的に背景が描かれ、神なる存在からヒトであるモノへと変わりました。女神ではなく、ヒト。そのリブートは賛否あるかもしれませんが…私はよりリアルに、ヒトを描くという点で納得感があり、肯定して受け取りました。

作画レベルの高さはやはり折り紙付き。後編だけに戦闘シーンがかなり多く、それだけでも充分楽しめる。メカ設定も素晴らしくて…まさかのアレが出てくるとは…の連続。ここはヤマトファンにはたまらない(笑)

そしてラスト…最後の1話(4話構成です)に思わず、う?俺は知らんぞ、これはと驚く旧ヤマトファン(笑)。そのアイデアの素晴らしさ。愛と優しさに包まれた見事な集結。前作までぶれていたヤマト本筋に戻りながら、理屈にあった見事な軌道修正。旧作ファンも納得の出来。それは松本零士先生の命と言うモノへの定義を含みました。そして圧倒的な引き(笑)

あんな引きされなくても、見ますよ。絶対。これが求めていたヤマトですから。圧倒的な愛による自己犠牲も厭わない救済。人を助ける姿にヤマトファンはついていきます(T_T) 
滝和也

滝和也