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オッペンハイマーのyumikoのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

こんなに映画館に向かう足が重い映画ってあったかな。2023/7/21の世界公開から8ヶ月。

原子力爆弾の開発、製造の総指揮をとった、ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)のお話。史実ですが、私の不正確かもしれない解釈と意見なので敢えてネタバレ設定します。

ノーラン監督らしく、時系列が前後するストーリー展開と、キャスト見るだけでもすごい数なので、ちょっと心してかかりました。なんとか最後までついていったかな。180分ですが、そんなに長くは感じなかった。
あ、音の使い方とかで、原爆の恐ろしさみたいなのはすごく伝わったけど、一昨日「DUNE砂の惑星Part2」を轟音で観たばかりなのでちょっと麻痺してる。

最初はナチスより先に核兵器を保持するために開発。でも、途中、ナチスドイツの降伏で矛先が日本に。なんでそこでやめなかったのか。当時、原爆の開発はもう時間の問題。ソ連などの存在。世界はもう、抑止力の世界に片足を突っ込んでいたのかな。歴史に疎くても、なんとなくわかりました。

一番印象的だったのは、初めから、マンハッタン計画は大量殺戮への加担だと言って、加わらなかったラビ(多分)の言葉だったんだけど、その後の情報量の処理で、ゆみこの脳みそから消えたのでした。たしか、「科学者なのに軍服はやめろよ…」的なくだりだったかな。後でもう一回確認する気力あるかな。

投下前の実験(トリニティ)が成功し歓喜する人々を見るのが辛い。それに応えて「誇りに思う」といったオッペンハイマーへの嫌悪感。でも、その歓喜する群衆に、彼は悲鳴や、火傷の顔や、灰と化した人を見たの。

日本人なので、当事者としてしか見られない。さすがに、投下する都市を選ぶ話をするシーンは吐き気がするほど、怒りが込み上げる。結局誰のせいなのか、みたいな思考になってしまう。その後のトルーマン大統領(ゲイリー・オールドマン)と面会で、罪悪感を伝えたが「もうあの泣き虫には二度と会わない」と言い放つ大統領。元凶はここかな。とか。

ただ、ホッとしたのは、多分、ノーラン監督は、多くのアメリカ人が抱いていると思われる「原爆は戦争を終わらすために仕方なかった。オッペンハイマーは戦争を終わらせたヒーローだ。」という意見ではないとわかったことかな。本人言及してないけど。

オッペンハイマーの葛藤はよくわかった。その後、スパイ容疑をかけられたのも、結局恨み嫉みみたいな話は何も感じなかった。

合わせて20万人以上の尊い命を無惨に奪った原爆。毎年8月6日、9日は犠牲者にお祈りしている被曝国民の私は、このテーマは軽い気持ちでエンターテイメントとしては見られないし、「バービー」と画像合成とか、言語道断では。と思う。

アインシュタインと交わした、(時系列ではラストじゃないけど)ラストシーンの言葉こそノーランが言いたかったことなのかなと。
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