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オッペンハイマーのSevenWintersのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリータッチなのとどこまでが史実で脚色なのかわからないのですが、 とりあえず映画作品としてはめちゃくちゃにハイクオリティで、技術・表現やサントラとの親和性やら凄いとしかいいようがないし自国兵(や日本人も含むっぽいのかな)の無駄死にを防ぐために投下した様子を見守っている一般市民の熱狂っぷりはとても今数万人(程度だとオッペンハイマー自身も信じていた)の殺人が行われた映像を見ているとは思えないまさに林望著「イギリスはおいしい」で英国人のおばあちゃん大家さんがいってた「米国人は狂信的」という言葉が当てはまって、キノコ雲があまりキノコ雲っぽく見えない以外は完璧だった。

ただ、ノーラン監督の描きたかったところはそこではないのはわかっているけれども日本公開されてこの映画を観ながら涙したおばあさんの話や自分が「この世界の片隅に」を観て胸に抱いた感情を思うと映画としては100点だけど題材が胸糞だなという心持ち。
それで思い出したけど昔、キノコ雲(原爆)を映画で表すことに関してとあるシンポジウムでのオリバーストーン(何があっても否定派)と大林宣彦(美しければキノコ雲でも撮るし映す肯定派)との不毛なやりとりも思い出して複雑な気持ちにもなった。

米国市民のポジティブ・熱狂っぷりはロスアラモスを想定して作られたウェス・アンダーソン「アステロイド・シティ」の乾いた明るさともリンクしていて(要はその後のロスアラモスですね)見返してみようかと思う。
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