あなぐらむ

賭場の牝猫のあなぐらむのレビュー・感想・評価

賭場の牝猫(1965年製作の映画)
4.0
大映の「女の賭場」に先駆ける事一年、日活が矢継ぎ早に三作送り出した野川由美子主演の女胴師もの。父の死にまつわるイカサマの疑惑等、大映作に似た所も多い。野川由美子の眼力を美しく切り取り、夏の東京銀座周辺のロケが楽しい。

野川を導く壷振り師に二谷英明。イカサマ込みの勝負師として野川に入れ墨を入れて身体も使うよう仕込んでいく様は「花を喰う蟲」を思わせる。高品格、深江章喜、郷えい治とおなじみの面々が悪党を演じるほか、まだ新人の藤竜也が若い刑事を演じ爽やかな印象を残す。

野川由美子の美しさが夏の暑さの中に描かれ、したたる汗にスミを入れたもろ肌脱いで壷をふる姿は非常に魅力的。シリーズ化がもう少し続けば、とも思わせる。
監督の野口晴康は野口博志の変名。銀座は馴れたものである。かっちりした娯楽作。